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『カティンの森』

1939年。ドイツ軍から逃げてきた人々とソ連軍から逃げてきた人々が、鉄橋の上で出会ってしまう場面からはじまる。大国に抑圧されてきたポーランドの歴史が、そこに凝縮されているよう。

ソ連軍の捕虜となったポーランドの将校たちが虐殺されたカティンの森事件。世界史で習うのはそこまでだが、ポーランドの悲劇は戦後も続いていた。

さまざまな立場の人が描かれていて、それぞれに共感できてしまうのがツラい。
体制を受け入れる人。真実を守ろうとする人。諦める人。闘う人。
絶望的な状況の中で誇り高く未来を語る人には、やはり感動してしまう。
収容所のクリスマス。大将が「職業軍人以外は皆生き残れ。君たちはポーランドの未来に必要な人たちなのだから。」というようなことを言う。将校には教師や学者や技師などがいるのだ。事件が起こることが分かっているから、余計にずっしりと心に残る。
大将の奥さんもまた、凄い。ソ連の嘘を告発する勇気。他にも誇り高い女性がたくさん描かれていた。
レジスタンスの青年が逃げる途中に上がった屋根からみたクラクフの景色が美しくて、なのに、この街がポーランド人のものでないという悲しさ。

機械的に作られる死体の山。無造作に埋められる死体。

カティン事件についての真実を語ることがどんなに難しかったのか。ソ連が崩壊したことによって作ることができた映画なんだよなーと思いつつ、完成し観ることができた自由をかみしめる。

『ロープ』(野田秀樹作・演出)でタマシイが語った言葉“あったことをなかったことにしてはいけない”を思い出す。歴史を修正しようという試みはいつでも行なわれていて、それを食い止めるためには真実を語り続けなければならない。

2007年のアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされていたのに、公開まで時間がかかったこと。観られて良かった。

2010.2.6 岩波ホール

監督・脚本:アンジェイ・ワイダ
原作:アンジェイ・ムラルチク
脚本:ヴワディスワフ・パシコフスキ、プシェムィスワフ・ノヴァコフスキ
撮影:パヴェウ・エデルマン
音楽:クシシュトフ・ペンデレツキ
出演:マヤ・オスタシェフスカ、アルトゥル・ジミイェフスキ、マヤ・コモロフスカ、ヴワディスワフ・コヴァルスキ、アンジェイ・ヒラ、ダヌタ・ステンカ、ヤン・エングレルト、アグニェシュカ・グリンスカ、マグダレナ・チェレツカ、パヴェウ・マワシンスキ、アグニェシュカ・カヴョルスカ、アントニ・パヴリツキ、クリスティナ・ザフファトヴィチ

Katyn 2007 ポーランド ポーランド語/ドイツ語/ロシア語

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