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『パラダイス・ナウ』

イスラエル占領地ナブルスに住む若者二人が、自爆攻撃へと向かう48時間を描いている。

幼なじみのサイードとハーレド。この二人は特に狂信者というわけではなく、普通の若者だった。占領下でのどん詰まりの生活からか、どうにもならない閉塞感とか諦めのムードが漂っているけど、それだって普通のこと。

そしてある日、組織の人間に「明日、自爆攻撃を遂行してもらう」と告げられる。そのあっけなさに、衝撃を受けた。世間話でもするみたいに、あっけないそのやり取り。翌朝サイードもハーレドも、家族に何も告げずに家を出た。

日本では「自爆テロ」と呼ばれている過激な行為が、普通の若者の日常生活に繋がって行なわれているというのが、まず衝撃的なのだけれど、この映画が凄いのは、ここからの展開。
自爆攻撃に向かった二人は、計画の狂いから離ればなれになり、街に戻ることになってしまうのだ。

ハーレドは組織の人間と合流し、装着していた爆弾を外してもらえるが、サイードはすっかりはぐれてしまう。
爆弾を体に装着したまま街を彷徨うサイード。走り回ったり、自動車修理の仕事をしたり、車に乗ったり、ずーっと緊張感が持続する。
ハーレドは、サイードを車で探しまわる。
覚悟した爆死から一旦解放されてしまった二人は、もう一度自爆攻撃について考えることになる。壮絶。

そんな二人の行動を見守りながら、揺れる気持ちにシンクロさせられてしまった。

いろいろな立場の人々が出てくる。
組織の人間は、自爆攻撃の準備に慣れきっている。犯行声明ビデオの撮影で、機材がうまく動かなかったり、ビデオ撮影時に弁当を喰ってたり。組織の人間は自爆攻撃の実行者にはならないんだよな。
殉教した英雄の娘であるスーハは、ヨーロッパで教育を受けていて、自爆攻撃に否定的。彼女は、サイードとハーレドそれぞれに、自爆攻撃の無意味さを訴える。彼女の言葉に説得力を感じるのは、わたしがそちら側(恵まれている側)の人間だからなのだろう。
そして、サイードの亡くなった父親の存在。

最後は真っ白な画面。無音だった。
エンドクレジットもずっと無音で、自分の鼓動が聞こえるかと思うくらいに息苦しかった。

2007.4.25  東京都写真美術館ホールにて(公式サイト)☆☆☆☆

監督/脚本:ハニ・アブ・アサド
脚本:ベロ・ベイアー
撮影:アントワーヌ・エベルレ
プロデューサー:ベロ・ベイアー、アミル・ヘレル、ヘンガメ・パナヒ、ジェルハルド・マイナー、ローマン・ポール
字幕翻訳:松岡葉子
字幕監修:重信メイ
出演:カイス・ネシフ、アリ・スリマン、ルブナ・アザバル、アメル・レヘル、ヒアム・アッバス、アシュラフ・バルフム

Paradise now  2005  フランス=ドイツ=オランダ=パレスチナ

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