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『女殺し油地獄』ー蔵出し銀幕大歌舞伎ー

ラピュタ阿佐ヶ谷で上映されている“蔵出し銀幕大歌舞伎”で観た。

歌舞伎でお馴染み、近松門左衛門作『女殺油地獄』の映画化。
1957年の作品で、現・坂田藤十郎が中村扇雀時代。1931年生まれとのことなので、25歳かな。華があって綺麗でした。

あらすじは、歌舞伎とほぼ同じ。
河内屋の一人息子(ここは歌舞伎と違う)・与兵衛が、遊女に入れあげ無理な借金を重ねたあげく、親切な豊島屋の女房・お吉を殺してしまう。

元番頭だった義理の父親役は、中村鴈治郎(二代目)で、親子競演。

与兵衛は、自分が跡取り息子なのだから、河内屋は自分のものだと思っている。世間知らずの甘ったれなので、簡単に借金してしまうし、ウソをつくのも全然平気。罪悪感なし。
義父のことを足蹴にし、病に伏せる妹にも手をかけ、実の母親にさえ手をあげてしまう。母親にも愛想を尽かされ、家を追い出される。
やりたい放題で、反省もしない。何もかもが、人のせい。自分は悪くなーい。
もう、いつ観てもどうしようもない男なのに、憎めない雰囲気を醸し出すのは、役者の華あってこそ。
扇雀は、目に力があってアップが映える。言っていることは、自分勝手でどうしようもないのに、許せてしまいそうな可愛らしさもあったりして。

息子が可愛い母親と、恩人の息子だからと大切にしている義父。けなげな妹。
良い家族なのに、どうしてこうなってしまうのか。

頼っていったお吉のところで、親の情けを知った与兵衛は、本気で改心したように見えた。凄惨な場面が待っていることは知っているのに、このままハッピィエンドになりそうに思えた。

しかし、朝までに借金を返さないと縛り首になってしまうのだ。改心したと言いつつ、金の無心をしてくる与兵衛を、お吉は心の底では信じることができなかったのだろうか。ふとしたことから、血と油にまみれた殺しが始まってしまう。

河内屋に逃げ込んだ与兵衛は、お吉の回向を頼み、家族に別れを告げ、自首する。
馬に乗せられて引き廻される与兵衛の顔は、すっきりしたものだった。

役者が揃っているので、見応えあった。
カラーの色が深くて、着物の色の美しさも堪能できた。

2006.12.26  ラピュタ阿佐ヶ谷にて

監督:堀川弘通
原作:近松門左衛門
脚色:橋本忍
撮影:中井朝一
音楽:宅孝二
美術:河東安英
出演:河内屋与兵衛:中村扇雀、父徳兵衛:中村鴈治郎、母さわ:三好栄子、妹おちか:香川京子、豊島屋お吉:新珠三千代

1957 日本

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