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“ニッポン・シネマ・クラシック”に行きました

東京国際映画祭”に行くことができるか微妙だと思いつつ、旅行前にチケットを確保しておきました。特集「ニッポン・シネマ・クラシック」のテーマを、“時代劇スペシャル〜名優伝説〜”と銘打っての特集上映。

『鴛鴦(おしどり)歌合戦』は69分、『決闘高田馬場』は50分。どちらも短い作品だし、何も考えずに楽しめそうだったので、旅行ボケの頭でも大丈夫だろうと思いました。なので、同日の2本を続けて観ることにしました。
多分予想以上に面白かったです。特に、『鴛鴦歌合戦』には、声を出して笑っちゃいました。

『鴛鴦(おしどり)歌合戦』
いきなり、予想外のテンションでミュージカルが始まった。1人で映画を観る時は、どんなに面白くてもそうそう声を出して笑うことなんてないのだけれど、我慢できずに吹き出してしまった。

素敵な水玉模様の日傘を差した商家の娘おとみが、大きな橋の向こうから渡ってくる。その後を追いかけきた取り巻きボーイズが「おとみさん♪おとみさん♪」と唄い始めめるのだ。取り巻きボーイズがおとみに求愛し、好みの男じゃないからダメ〜、と断るというやり取りを楽しく歌にしている。底抜けに明るくて楽しくて、何だか笑ってしまう不思議な可笑しさ。場内の雰囲気が和らいで、つかみはオッケィというところ。
そして、畳掛けるように、若い殿様と(ボンクラ)家来たちが登場して唄う。「僕は若い殿様〜♪」もう、場内は爆笑。歌詞といい、メロディといい、間も絶妙によくって、本当に楽しいのだった。

この映画の主人公は、片岡千恵蔵が扮する貧乏長屋に住む浪人の礼三郎。
長屋の隣に住む傘張り浪人の娘・お春が日傘を広げながら唄い、礼三郎の登場となる。
長屋の前に色とりどりの(といっても白黒なのだ)日傘がば〜〜っと広げられている、その美しい情景には息をのんだ。日傘のデザインもひとつひとつが小粋で素晴らしい。
お春、豪商の娘おとみ、仕官しているおじ上の娘(従妹ってこと?)、娘三人が礼三郎に惚れているという、モテモテの設定。
片岡千恵蔵といえば、大きな顔に独特の声のイメージだったけれど、さすがに若くて、格好良かった。

ミュージカルなので、千恵蔵も唄う。そして、傘張り浪人の志村喬も唄う。若殿役は、ディック・ミネ。

他の観客たちと声をそろえて笑いながら観るという、コメディ映画の楽しさを満喫できた。

監督:マキノ雅広
脚本:江戸川浩二
撮影:宮川一夫
出演:片岡千恵蔵、市川春代、志村喬、遠山満、深水藤子、ディック・ミネ、香川良介、服部富子、尾上華丈

Samurai Musical 1939

『決闘高田馬場』
バンツマこと阪東妻三郎を初めて観た。大スターの存在感をバリバリに感じさせるオーラ。歌舞伎を観ているような、そんな派手さもあった。
バンツマ扮する飲んだくれの浪人中山安兵衛。本当にもの凄〜く飲む。飲みまくり。そして、酔っぱらって足腰が立たない状態でも強い。

安兵衛には、煙たい気持ちはあるけれど、心中では絆を感じている伯父がいる。この微妙な気持ちがきっちりと伝わってきて、安兵衛が憎めない。安兵衛は、伯父が高田馬場で果たし合いをするということを知り、助太刀のため駆けつける。
飲んだくれた安兵衛が果たし合いを知るまでは、焦れったくてイライラしてしまうけれど、その後の韋駄天走りは音楽もついて軽快。ググッと、画面に入れ込んでしまう。
駆けつけた安兵衛の有名な十八人を相手にした立ち廻り。大勢を相手にしていて迫力があるのだけれど、歌舞伎のように見得を切ったりして、一瞬形が決まるところが面白い。

ラストシーンは、全員を倒した後で倒れたままの伯父のもとに駆け寄る安兵衛。彼の勝利に沸く人々の騒ぐなか、動かぬ伯父への無念の思いからか天を仰ぐ安兵衛の姿を映して映画は終わる。勝利を宣言する彼の言葉はない。
単なる痛快なお話ではない余韻が残る幕切れだった。

監督:マキノ正博、稲垣浩
原作/脚色:牧陶三
撮影:三井六三郎、石本秀雄
出演:阪東妻三郎、香川良介

Takadanobaba Duel 1937

<スペシャル・ゲスト>
映画祭らしく、『決闘高田馬場』ではスペシャル・ゲストの福本清三氏が招かれていた。日本一の斬られ役という触れ込みで招かれた福本氏は、話すことは苦手だと言いながら、映画と斬られ役を演じることについての熱い思いを語った。

特に印象的だったのは、「斬られ役にとっては、“いかに無様に死ぬか”が死に方の美学である」という言葉。美しく死ぬのは主役であって、斬られ役はそれぞれが無様に死ぬことが大切である。それぞれが違う死に方で死なねばならないから、後進に教えることはできないものだ、と。
「生まれ変わっても、斬られ役になりたい。主役とうまく間が合って殺される時の気持ち良さは、やってみなければわからないものだ。」と話されていた。

訥々と話されるその言葉に、彼のような人が日本映画を支えてきたのだということが実感されて、じ〜んと熱い気持ちがこみ上げてきた。

福本氏が退場する時の熱い拍手が、場内の気持ちを表していた。

(10/25鑑賞)

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コメント

こんばんは、ちょっぴりお久しぶりです。
お帰りなさいませ。日本には順応されましたか?
楽しそうですね、上記2作品。
相変わらず、日本モノ、古めモノは後回し状態ですが、マキノ監督って、観てみたいなーと思っているので、観たいリストに加えておきます。。
ちなみに、鈴木清順は何を観たらいいんだろう、とか、特集上映って、とっかかりがないまま、終わってしまうことも多い私。オススメあったら教えてください~。
あと、せっかく情報いただいたのに、歌舞伎行けないかも…(汗)でもきっとそのうちに。懲りずにまた教えていただけると嬉しいです。。

わかばさん、こんばんはー。
なんとか、エンタメ生活に戻りつつあるんですが、なかなか他所のブログにお邪魔するところまで行き着いておりません。そろそろ復活しなければ。
マキノ監督、面白かったですよ。ちょっと中だるみなところもありましたが、楽しく観ることができました。特に、『鴛鴦歌合戦』はオススメです。
そして、鈴木清順ですね。気づいたらわたしも見逃しそうでした。
『ツィゴイネルワイゼン』は終わってしまったのですよね。これは、わたしのベスト1作品です。DVDは持っているけれど、またスクリーンで観たかった。
好きな割にそれほど観ているわけではないのです。最近の作品『ピストルオペラ』も予告編がイヤだったので観ていないし。
『殺しの烙印』『悲愁物語』『穴の牙』などは、スクリーンで観ておきたいと思っています。
舞台は、チケットを確保とか面倒くさいですよね。こういうのって、タイミングありますから。
海老蔵出演とか、オススメがあった時には、またお知らせいたします〜。

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