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『夜叉ケ池』

七月に歌舞伎座で上演された『夜叉ケ池』(感想はこちら)。
ラピュタ阿佐ヶ谷の特集“奇跡の職人技 素晴らしき特撮世界”で、監督:篠田正浩/主演:坂東玉三郎の映画版を上映してくれたので、観に行った。

1979年の作品とあって、当然、玉三郎は若い。そして、ほっそりとしていて、最初に百合が顔を見せる時なんて、竹久夢二の美人画のようだった。

加藤剛が萩原晃で、端正で生真面目な雰囲気が、この役にとても似合っている。

山崎努が山沢学円役。冒頭の日照りで乾いた土地を歩く場面から、なんとなくシュールな雰囲気を醸し出している。渇水に苦しむ村人たちは、戯画的で怪しい。

魔的な雰囲気が漂う中、たどり着いた山奥の一軒家で、山沢が百合と出会う場面。なかなか百合の顔を映してくれない、勿体振りようが心憎い。

最初に顔を見せる百合は、ほとんど化粧をしていないような、清楚な雰囲気。男っぽいと言えば、男っぽい。
山沢と萩原が再会した後、挨拶に顔を出す百合は、化粧を濃くし着物も着替えて、なるほど山沢に魔性のものだと思わせるには十分な美しさ。

白雪姫の登場場面は、舞台のような(朝倉摂なのだと思うけれど)セットもあって、すっかり歌舞伎調だった。白塗りの化粧が、妖しく美しい。舞台っぽい台詞回しも、魔物ならではと思え、迫力があって素晴らしかった。

村人たちの、絵に描いたような悪者ぶり。代議士役の金田龍之介の迫力はさすがだった。バカな教師の矢崎滋とか、ヤクザものの唐十郎とか。

冨田勲の音楽が、幻想的でとても良かった。玉三郎と冨田勲と泉鏡花って、素晴らしくハマる。今となっては懐かしいような、シンセサイザーの音色。ドビュッシーの「沈める寺」なんて、タイトルもぴったり。
ちょっと音が悪かったのは、残念だったけど、堪能できた。

特集の“奇跡の職人技 素晴らしき特撮世界”にふさわしく、最後の大洪水の特撮は圧巻だった。今と違ってCG処理なんてしていないはずだから、ミニチュアの村と水の合わせ技。
洪水で大地が裂けてしまって、この世の果てのようになった場所に残った鐘撞き堂。もの凄いスペクタクル感だった。

エンドクレジットで、ロケ地がイグアスの滝だったと知って納得の大迫力。

ラピュタ阿佐ヶ谷にて

監督/脚本:篠田正浩
脚本:田村孟、三村晴彦
原作:泉鏡花
撮影:小杉正雄、坂本典隆
美術:粟津潔、朝倉摂、横山豊
特殊撮影:矢島信男
音楽:冨田勲
出演:坂東玉三郎、加藤剛、山崎努、三木のり平、丹阿弥谷津子、金田龍之介、井川比佐志、常田富士男、山谷初男、
浜村純

1979 日本

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