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『コントラクト・キラー』ーBOW30映画祭ー

Ihiredacontractkiller ジャン=ピエール・レオーが主演で、英語の映画なのだけれど、テイストはまさにアキ・カウリスマキ監督の映画だった。

アンリは、長年勤めた職場から突然解雇を言い渡された。家族も友人もいない彼は、自殺を図るが、首吊りもガス自殺もできず、“コントラクト・キラー”を雇うことにする。自分を殺す依頼だった。

人生に絶望して死ぬ覚悟を決め、殺し屋まで雇ったのに、その直後に死ぬことがイヤになってしまうなんて、よくある物語のような気もする。
でも、カウリスマキ監督なので、何とも不思議な愛すべき映画になっていた。

なんといっても、ジャン=ピエール・レオーの無表情が良い。
職場では完全に浮いていて、でも仲間に入りたい雰囲気がなんとな〜く漂っていたり。お酒も飲めない堅物ぶり。フランスには絶対に帰らない!と言う時の断固とした口調。この人は、ひとりきりでずっと不器用に生きてきたのだろうなー、と思わせられるその雰囲気がやるせない。
死を前にした彼が、飲まなかった酒をあおっているBAR。そこへ現われる花売り娘。もうこれしかないでしょー、という絶好の場面!
いい年をした男と女なのに、"A boy meets a girl."的に、恋に落ちてしまった瞬間の唐突さが、泣かせる。

腕が良いのかどうかちょっとわからない殺し屋のおじさんが渋くて、死期が近いことを知ってしまってからの哀愁ったらもう。こちらが主役でもいけそうなくらい。

アンリが身を寄せているハンバーガー屋のおやじが、何もかもを受け止めてくれるような温かい雰囲気にも、ホッとした。

味のあるへなちょこな歌をうたってくれたのが、ジョー・ストラマーだったとは。

シャンテシネにて BOW30映画祭

監督/脚本/編集:アキ・カウリスマキ
撮影:ティモ・サルミネン
出演:ジャン=ピエール・レオー、マージ・クラーク、セルジュ・レジアニ、ジョー・ストラマー

I HIRED A CONTRACT KILLER  1990  フィンランド=スウェーデン

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コメント

ほんとカウリスマキ作品のキャラは愛すべき人のオンパレードですね。
哀愁のあるおかしみがたまりません。
皆それぞれが孤独で、
それってちょっと共感してしまう部分でもあり、
実は自分、カウリスマキが好きなのかもと思い始めました。
今まであまり意識したことはなかったのですけれども。

現象さん、ニアミスでしたねー。
哀愁あるおかしみを描かせたら天下一品の監督になってしまいましたよね。
確かに、それぞれが孤独で、だからこそ愛すべきって気がするところが素敵です。
カウリスマキが好き?って、監督本人のこと?
彼は、もの凄い酒飲みみたいですね。
結構、骨のあるオヤヂみたいで、わたしも好きです。

こんばんは。
これは公開当時に観て、大好きな作品でした。
こないだ掃除したら、半券も取ってありました(笑)見返してないのでディテールは忘れてますが、こういうブラックユーモア的作品大好きです。
(最近「自殺うさぎの本」というのも気に入っていて、ちょっとつながる感じもしたりしています)

厳密にいうとカウリスマキ作品が、ですね。
ただ、昔なにかで読んだことがある話なんですが、
僕が最も好きな監督のキアロスタミがどこかの映画祭に出席しようとした時、
ちょうどあちらのほうの情勢が不安定で、
彼がイラン人ということだけで入国を拒否され、
それを伝え聞いたカウリスマキが激怒し、
自らも出席をやめたそうです。
武骨だ…

わかばさん、こんばんは♪
確かにブラックユーモアのある設定ですね。
わたしは、どちらかというと孤独とか哀愁を感じてしまって、ブラックは感じてませんでした。
多分、カウリスマキ監督だからという先入観のせいだと思います。
「自殺うさぎの本」って、知りませんでしたー。絵本なんですね。本屋で手に取ってみよーと思います。
ブラックな絵本はとても好きです。

現象さん、こんばんは♪
そのエピソードは、わたしも読んだことあります。
多分ニューヨークの映画祭だったと記憶しています。
武骨で素敵ですよねー。
日本に来た時はいつでも酔っぱらっているらしいし、酒好きの良い人みたいですね。
一緒にお酒が飲みたいかも??
現象さんは、キアロスタミ監督が一番お好きなのですねー。最近、作品を観ていない気がするなーと思っていたら、本日拾ってきたチラシに名前がありました。
『明日へのチケット』。ケン・ローチとエルマンノ・オルミとの共同監督らしいです。楽しみー。

こにちは。
カウリスマキは四六時中のんだくれなところが好きでっす。
私もカウリスマキ作品はブラックさよりもユーモアとペーソスかな。
ブラックな笑いらしい『マッチ工場~』はどうしたって笑えなかったし・・。
「自殺うさぎの本」は最近書店に積まれていました。
すんごい、かわいいです。

かえるさん、こにちは!
のんだくれカウリスマキお好きですかっ!一緒にお酒を飲みたいですよねー。
『マッチ工場〜』は、わたしも笑えませんでしたよ。笑える人はいるのでしょーか?
かえるさんも、「自殺うさぎの本」に注目?
かわいくてブラックならよいですね。

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