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『ローズ・イン・タイドランド』

Tideland 10歳の少女ジェライザ・ローズの目に映っている世界は、幻想的でとても美しかった。
トリップ感があって、空想と現実の間をフワフワ浮いているよう。

『不思議の国のアリス』が大好きな10歳の少女ジェライザ=ローズ。学校にも行かず、ママとパパの世話に追われる毎日。ある日、ママが突然死んで、パパとふたりでおばあちゃんの居たボロ家に住むことになったけれど、パパも“バケーション”に出てしまって、ひとり残されてしまう。

ジェライザ=ローズは、ジャンキーのパパのクスリを用意するのはお手のもの。注射器を口にくわえる姿もキマっている。ヒステリックなママの足をマッサージするのも手慣れたもの。どうしようもない両親は、ジェライザ=ローズに頼って暮らしている。
そして、彼女の友だちはバービー人形、の“頭”たち4人(?)。
そんな素敵なジェライザ=ローズを演じているのは、ジョデル・フェルランド。監督が公言しているように、彼女がいなかったらこの映画は成立しなかったことは確かだろう。

ジェライザ=ローズの少女ならではな幼い残酷さがたまらない。バービー人形の頭に、別人格を託して孤独から自分を守っている。クローゼットの冒険も、ひとりじゃないからできること。
“バケーション”から戻ってこない父親に甘える姿が、グロテスクでいじらしい。
頭の弱い青年への初恋めいた感情も、周りに誰もいない少女だからこその危うさで、かなりヤバい雰囲気だった。

彼女の幻想を具現する場面たちは、どれも素晴らしく楽しかった。
金色の草原に家が沈んでいって“100年の海”を探検したり。『不思議の国のアリス』のように、うさぎ穴へと落ちていったり。
特に気に入ったのは、バービー人形の頭“ベイビー・ブロンド”と“サテン・リップス”がパパのお腹の中に閉じ込められるところ。キラキラ明るいお腹の中がとてもキレイだった。

パパ役のジェフ・ブリッジスは、金髪のカツラを被ってお化粧までさせられて凄いことになっていた。

ジョデル・フェルランドは、『サイレントヒル』にも出ていたのだった。観たかったのに、見逃してしまって残念。新文芸坐あたりに期待。

恵比寿ガーデンシネマにて(公式サイト

監督/脚本:テリー・ギリアム
製作:ジェレミー・トーマス、ガブリエラ・マルチネリ
原作:ミッチ・カリン 『タイドランド』
撮影:ニコラ・ペコリーニ
音楽:マイケル・ダナ、ジェフ・ダナ
出演:ジョデル・フェルランド、ジェフ・ブリッジス、ジェニファー・ティリー、ジャネット・マクティア、ブレンダン・フレッチャー

TIDELAND 2005 イギリス=カナダ

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コメント

いわいさん、こんにちわ。
ジェフ・ブリッジス、すごい事になっていましたねぇ...。どうしても触れてしまうのが、『ことぶき』という文字の入ったハッピです。しかも左右両側に。あれは、監督のセンスなのでしょうか。
ローズちゃんのシーンは、何だかとてつもないセンスのものが多かったですね。一般的な感覚では、思いもつかない空想の世界。
ラストのローズちゃん瞳のアップで暗転。あの画は強烈で、どんなホラー映画よりもよっぽど怖いと思ってしまいました。
ギリアムらしいと言えば、らしいのでしょうかね。

ドモドモ-♪

いわいさんはこの映画、浸れましたかー!?
巷では好き嫌いがハッキリと分かれたようですが。
ギリアム監督、前作の「ブラザーズ・グリム」では思う存分発揮出来なかったようなので、この映画では思いっきり自分の好きなことをしたような気が致しました。ウフフ

>少女ならではな幼い残酷さがたまらない
ですよねー・・・
この映画、ギリアム監督の演出もさることながら、ジョデル・フェルランドの演技にもよるところが大きいですよね。
「サイレントヒル」でも大人顔負けの演技力でした。
怖さの演出がビジュアル的に良かったので、こちらも是非!

隣の評論家さん、こんばんは♪
コメントとトラックバックをありがとうございます。
あーそういえば、「ことぶき」って書いてあるハッピを着てました。それに反応して、コショコショと話している人たちが、2、3組いたのです。映画を観ている最中に、話すことではないですよねぇ。
ローズの空想の世界が凄かったですね。
クスリでトリップしたら、こんな風なのかな?と思ってしまいました。
汚い現実を空想力で美しく変えて生きているローズのたくましさに、かんどーです。

Puffさん、こんばんは♪
どっぷり浸りましたよー。
好き嫌いが分かれたのですか?なるほどです。
わたしは、大好きでした!
ジョデル・フェルランドの演技がもの凄かったですよね。
児童虐待寸前の役柄だと思いますが、しっかりこなしてました。
『サイレントヒル』は絶対に観たいと思っていたのに、気づいたら終わってました。(泣き)
機会があったら、観たいです。

こんばんは。
私もこの世界観は面白ろ可笑しく堪能しました!
私もよく一人遊びをしましたし、妄想もいっぱいしましたよ。←今でも 笑
ジョデルちゃん、なんかとっても妖しい雰囲気でもうすでに大人なところが面白かったわ~
監督が子供目線で楽しんで作った感じがして私は好きです。

charlotteさん、こんにちは。
この世界観は、とても楽しかったですよねー。
一人遊びは、わたしもしました。当時のことを考えると恐ろしいです。(何が?)
ジョデルちゃんは、今後どういう女優になるのか楽しみですね。ダコタンとは違う恐ろしさでした。
テリー・ギリアムは、実際にこういう幻想を持っているのではないでしょうか。映像にする作業は楽しかったでしょうね。

いわいさん、こんばんは!
うーむ、今回はTBうまく行きませんでしたです・・・。スミマセン。
危うい初恋もバービー人形の頭もバケーションに行ったままの父も、大人になったジェライザ=ローズはきっと夢のように思いだすのでしょうね。
また、もしかしたらギリアムは自分の少年時代をこんな風に思い出してるのかもしれない。
随分強烈な世界ですがギリアムさんだったらあり得る気がします(笑)。

Kenさん、こんばんはー。
大人になったジェライザ=ローズのことを考えると不思議です。
あのラストシーンから繋がる現実は、かなり重くて美しくなさそうな気がします。
ギリアムも、ある時点でこのような喪失を経験したのでしょうかね。
確かに強烈ではあるけれど、美しかったです。願望もはいっているのかもしれませんが。

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