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『炎のアンダルシア』ーBOW30映画祭ー

Almassir 一言で何といったら良いのか、困る。
歌あり!踊りあり!恋あり!陰謀あり!そして、思想を守る崇高な思いもあり!
とにかく、力強さに満ちた娯楽作品。

12世紀、アンダルシアのコルドバはイスラム王朝の都。大法官アベロエスは自由思想の哲学者だった。
アンダルシアでは、カリフの信頼厚い大富豪が打倒カリフを企み、原理主義者の教祖と共謀して、人々を洗脳していた。企みに気づいたアベロエスの忠告を、傲慢なカリフは聞き入れないどころか、アベロエスを遠ざけるようになる。

スペインのアンダルシアがまだイスラム教圏内だった頃なので、すっかりイスラム文明な雰囲気が面白い。
カリフ打倒の陰謀が進み邪魔者となったアベロエスが陥れられた時、弟子たちが危険を察知して、著書を書き写す。印刷のまだなかった時代に、本を救おうとする行為の大変さ。

原理主義者は若者を中心に洗脳を行い、第2王子アブダッラーもまた魔の手に落ちる。教祖のために命を捧げ、必要であれば親兄弟さえも殺せ、と教える教義。
それに比べ、アベロエスの思想は軽やかで、自由だ。
写本をエジプトへと届け「アベロエスの思想はわたしのものとは違うが、彼の著作は守られるべき」と、それを受け取る学者の言葉が印象に残った。

アベロエスの思想をめぐる戦いが縦軸にあるけれど、娯楽要素はてんこもり。

ことあるごとに歌われる吟遊詩人マルワーンの歌と、それにあわせて皆が踊る場面には、生命力があふれていた。
第1王子ナセルとアベロエスの娘との恋愛は、盛り上げる音楽のベタさ加減とともに、メロドラマチックで頬が緩んでしまった。愛や恋は、そこかしこで繰り広げられ、人間の営みへの愛おしさを感じさせる。

総じて、音楽は派手でベタな雰囲気。陰謀の行方も波瀾万丈。日本の娯楽時代劇か香港剣劇を観ているような楽しさで、とてもわかりやすかった。

火刑の炎で始まって焚書の炎で終わる熱い映画。
「思想には翼がある。その羽ばたきは誰にも止められない」と最後に掲げられたメッセージが力強く胸に響いた。

シャヒーン監督は当時71歳だったそうなのだけど、あまりのパワーにクラクラさせられてしまった。

シャンテシネにて  BOW30映画祭

監督/脚本:ユーセフ・シャヒーン
音楽:カマール・タウィール、ヤフヤ・ムーギー
出演:ヌール・シェリーフ、ライラ・ウルウィー、ムハンマド・ムニール、サフィーア・エマリー、ハーリド・ナバウィー、ハニー・サラマ、マフマード・フメイダ

AL MASSIR 1997    エジプト=フランス

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コメント

こちらにも。
あー、これ、やっぱり観たかった~!!
なんとなく、すごく自分の好みな気がするんですよね。
レンタルにはないのですが、DVDは出ているので、いつの日か…。
ちなみに、2ヶ月くらい前かな?「アラビア語会話」(教育テレビ)で監督のインタビューをやっていて、それで興味を持ちました。パワフルなおじさま、という印象でした~。

わかばさん、どうもー♪
確かに、わかばさんの好みかもしれませんねー。
なんともいえないパワフルな作品でした。
巨匠の大作という重々しいものではなくて、本当に娯楽作品でした。ブッと笑ってしまったこともしばしばでした。(あまり笑っている人はいなかったみたいですけれど。。)
わかばさん、「アラビア語会話」をやってらっしゃるのですか。ずーっと前にエジプト旅行した時、数字だけは覚えたのですが、もうすっかり忘れてしまいました。
監督は、とてもパワフルな方なのですね。映画から受けるイメージと同じです。
もんの凄ーくパワフルな作品でした。

ふたたびです。
はい、いわいさんの記事を読んで、これは多分好きだろうな~と思いました。なんとなくガチャガチャしているものが好きなので。いつの日かリベンジしたいと思います。
語学は、勉強しているわけではなくて、語学番組を見るのが趣味なんです(笑)。4月に一通り見て、出演者や講師がいいと一年見ます。今のアラビア語は柳家花緑さんが出演していて面白いんです♪他にも、映画や音楽関係のインタビューは多いので、結構拾い物があります。中華系スターは中国語会話結構出たりしますし。
と、思い切り余談でした。

わかばさん、こんばんは。
語学番組を見るのが趣味なんですね。
わたしは、中国語をやろーと思って録画だけがたまっている日々です。谷原章介の発音がちょっとイヤなのです。大学で中国語を専攻していたので、思い出したいと思っているのですが。。
アラビア語は、柳家花緑さんが出演しているのは知ってました。そうか、ただ見るだけだったら楽しそうですね。確かに、旬のゲストが出てました。情報番組として、利用してみよーと思います。
ふふ、余談は歓迎ですよー。

じゃ、お言葉に甘えてちょっとだけまた余談(笑)。
谷原さんは確かに微妙ですね。でも去年よりはいいかなー。去年はヘンなパンダが出ていて馴染めませんでした。先生もおととしまでの相原先生の方が好きだったので、中国語は最近あまり見ていません。主題歌は好きですが。
今年は、アラビア語のほかにイタリア語をときどき、ロシア語も面白いんですが、去年の再放送なのが悲しい…。花緑さんは2年連続なので、よほど好評だったのでしょう。ホント、アラビア語が番組として一番面白いと思います。
でもどれだけ見ても、語学はさっぱり上達しません(笑)。はい、情報番組として見ています^^;

わかばさん♪
ヘンなパンダが出ていたのですか〜?NHKのセンスも不思議ですね。先生もちょっとコワいかんじだったような。実は、テキストも購入していないのでした。
ロシア語にはとても興味があって、せめて読めるようになりたいと思っているのです。以前、『チェブラーシカ』の挿入歌「ゲーナの歌」を教えてくれた時に見てました。今でも歌えます〜♪
性格的に途中からがイヤなのですが、9月から切り替わるのですよね。軽い気持ちで見てみよーっと。

舞台はコルトバなんですか?!
うー、ますます観たかったー。

かえるさん、ブエノス・ノチェス♪
そうですよ、舞台はコルドバ!
そして、言葉はアラビア語!
顔立ちは皆アラブ系。眉が繋がっているのでした。
ジプシーの踊りも楽しくて、あきなかったです。

こんにちは♪
こちらも実は観たんですが、ホウ監督に囚われてる間にすっかり感想書きそびれてしまって・・。
なんだか、すっご~い難しい映画だったなという印象でした。
もちろん歌いだすととたんに頬がゆるんじゃうんですが(笑)
ちゃんと感想お書きになれる いわいさんを尊敬しちゃいますよー!
横レスですが、上のやり取りを見てニンマリ♪ 私も実は語学番組は”趣味”で時々見てます^^勉強はイタリア語をちょっとだけで、後はしてませんー笑)
そうそう!結構ゲストが楽しみだったりもします~以前は中国語や韓国語講座に来日スターや監督はこぞって出てましたよね♪ 「英語でしゃべらナイト」もお気に入り。

マダムSさん、こんにちはー♪
ご覧になったのですね。
難しかったですかー。わたしは、文芸大作だと思っていたら、痛快娯楽作品のノリで話が進んでいくのにビックリしつつ、楽しみました。
異国情緒に魅せられただけなのかもしれませんけど。
尊敬していただいてありがとうございますー!ウフ

語学番組ファン多いですねー。学ぼうとして挫折してしまうワタクシとしては、皆様の“趣味”というスタンスを真似てみようと思いました。
旬のゲストが出てきますものね。「英語でしゃべらナイト』は、たまに観てます。こちらも、ゲストが豪華だったりしますよね♪

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