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『サクリファイス』ーBOW30映画祭ー

Offret 静かな静かな美しい映画。
風の音や風にそよぐ草の音が、耳にはいってきて心地よい。

アレクサンデルは、自分の誕生日に“生命の木”を植えた。その日、核戦争発生のニュースをTVが伝えた。無神論者だったアレクサンデルは、愛する人々を救うために祈りを捧げる。

バッハの「マタイ受難曲」が流れ、レオナルド・ダ・ヴィンチの「マギの礼拝」が映されるオープニングで、宗教に関わる物語なのだと思った。
アレクサンデルが植えた“生命の木”。言葉を話すことができなかった、名前を持たない彼の“子供”が、発したのは「初めに“言葉”ありき」。

神を信じていなかったアレクサンデルが、神に祈りを捧げる。そして、それが成就されたと思った時、約束は果たされなければならない。
家や樹々が燃える炎が美しかった。

核戦争が発生する不穏な音の中、振動でミルクの入ったガラス瓶が割れた時には、息を飲むほどの衝撃を受けた。そして、その後の色を失った世界の恐怖。「マギの礼拝」の絵を見た時のように、不安な気持ちになった。

日本的なモティーフが多かったことも気になった。“生命の木”は日本から取り寄せた木。尺八の奏でる日本の音楽。アレクサンデルが羽織っている着物。

核戦争が発生したことは、アレクサンデルの夢なのかもしれない。
いろいろと考えることができてしまうけれど、言葉にするのは難しい。
途中からはあまり考えないで、とにかく美しい映画に身を委ねてしまった気がする。できたら、何回も体験したい映画だった。

ここで、ちょっと愚痴。
冒頭、草原のなかでアレクサンデルの独白が長いこと続く。草原を吹く風の音が心地よかったことも確かだ。気持ちよくなって、眠ってしまう気持ちはとてもよく解るのだ。
でも、いびきはいけない。すぐ後ろではなくて、多分3列以上後ろだったと思う。それでも、冒頭から、エンドクレジットまで、ずーっといびきの音を響かせながら眠っている人がいた。連れの人がいなくても、近くの人はどうにかする義務があると思うんだけど。何より、近くの人はうるさいから迷惑なのではないだろうか。画面への集中を邪魔されたことが、とても腹立たしかった。

シャンテシネにて BOW30映画祭

監督/脚本:アンドレイ・タルコフスキー
撮影:スヴェン・ニクヴィスト
出演:エルランド・ヨセフソン、スーザン・フリートウッド、アラン・エドヴァル

OFFRET 1986  スウェーデン=フランス

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コメント

こんばんは。
いびきはちょっと許せませんね。実害ありまくりですよね。
とはいえ、私も「ソラリス」でかなりうつらうつらしてしまったので、はい、自分はいびきはかいていないと信じていますがっ。
「マタイ受難曲」がとにかく美しくて、観終わった後数日頭の中で流れていました。
解釈は難しいのですが、同じく何度も観たいなと思いました。

いびきはあり得ないですわ。
下手したらグーパンチです。
シャンテは客層が良いと思っていたのですが、
そうとも限らないようですね。
タルコフスキー自身が日本に感化されているのでしょうか。
生け花にも触れてましたねイッケバァナー!

わかばさん、こんばんは♪
そうなんですよー。眠っても構わないのですが、いびきは困ります。近くにいたら、絶対揺り動かしたのに。
わかばさんは、いびきなんてかきませんとも!わたしもそう信じておりますぅ。
「マタイ受難曲」は、大好きな曲なのです。演奏会で聴いて、もう鼻水垂れ流しながら感動しちゃいました。ここで、勧誘されたら絶対入信してしまう!と思ったくらいの衝撃でした。家にある抜粋のCDには、この曲が入っていないのでちょっとショック。また、買わなければなりません。

この後、ソビエト映画回顧展06で『鏡』を観たのですが、重なっているものが多かったのです。
遺作なんですよね、これ。そう思ってみると感慨深いです。

現象さん、こんばんは♪
グーパンチしたかったけれど、遠かったのです。
別に悪気はないと思うのですよ。せっかく観に来ているわけですし。眠気を抑えることができないことってありますよね。だからこそ、近くの人が注意する義務があると思っています。

『惑星ソラリス』でも、首都高速を使っていました。何か、魅力を感じていたのでしょうね。

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» タルコフスキー祭り [working title -annex-]
★サクリファイス  (1986)  BOW30映画祭にて鑑賞 ★惑星ソラリス (1972) ★ストーカー (1979)  ソビエト映画回顧展06にて鑑賞  全て、アンドレイ・タルコフスキー監督作品です。  ふざけたタイトルですみません。  タルコフスキー監督は一作しか観たことがなく、観たいなーと思っていました。個人的にロシアブームな今がチャンスと思いまとめて3作観てみました。個人的にタルコフスキー祭りにしてみました。  とっても疲れたけど、面白かったです。  「サクリファ... [続きを読む]

» サクリファイス@シャンテ・シネ [ソウウツおかげでFLASHBACK現象]
固定されていると思ったらカメラはゆっくりと動き、冒頭の1カットは悠然と海に面した大地を舐めて、老人と子供、その老人に手紙を届ける郵便配達人を捉えた。老人アレクサンデルは1本の枯れ木を植えて、ある寓話を子供に唱える。口が聞けないその子供に水を毎日やれと促した... [続きを読む]

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