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『鏡 ЗЕРКАЛО』ーソビエト映画回顧展06ー

Zerkalo タルコフスキー監督の自伝的映像詩。

美しいイメージの洪水に溺れてしまいそうな、そんな気持ちよさがあった。

作者である"私"による一人称で語られる映画。
母への思いと別れた妻や息子への思いが絡み合い、過去と現実を交錯させながら描いている。

母マリアと妻ナタリアは、マルガリータ・テレホワの二役。
少年時代の“私”と息子イグナートは、イグナート・ダニルツェフの二役。
母親と息子のイメージが過去と現在で重なり、過去の映像と現在の映像が流れるようなカメラワークで自由自在に行き来する。タルコフスキーが見ている夢を一緒にみているような気持ちになった。

老婦人に命令されて、息子イグナートはプーシキンの書簡の一部を朗読する場面が、マジカルで美しかった。
老婦人はテーブルで紅茶を飲んでいる。イグナートが少しだけ席を外していた間に、彼女はいなくなっている。テーブルの上にはついさっきまでカップが置かれていた濡れた丸い痕が残っているが、その痕は、湯気が消えるようになくなっていった。

母と一緒に、宝石を売りに行く場面も印象的だった。
素朴な木造家屋、美しい赤子。鶏を絞めるように促される母親。

先日観た遺作の『サクリファイス』(感想はこちら)と重なるイメージも多かった。
風にそよぐ草原、燃え上がる炎、水、浮遊する人、レオナルド・ダ・ヴィンチ。
『鏡』を先に観ていたら、『サクリファイス』の印象も変わっていたかもしれない。

悔恨や郷愁に満ちた美しい映画だった。

三百人劇場にて ソビエト映画回顧展06

監督/脚本:アンドレイ・タルコフスキー
脚本:アレクサンドル・ミシャーリン
撮影:ゲオルギー・レルベルグ
音楽:エドゥアルド・アルテミエフ
挿入詩原作:アルセニー・タルコフスキー
出演:マルガリータ・テレホワ、オレーグ・ヤンコフスキー、イグナート・ダニルツェフ、フィリップ・ヤンコフスキー、アナトーリー・ソロニーツィン
ナレーション:インノケンティ・スモクトゥノフスキー
挿入詩朗読:アンドレイ・タルコフスキー

ЗЕРКАЛО(Zerkalo)/The Mirror 1975 ソ連

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コメント

こんばんはー。
美しいタルコフスキー作品の中でも、『鏡』は大好きですー。
トリをさばいてって言うシーンが記憶に残っています。

かえるさん、こんにちは。
わたしも、この作品は大好きですー。
流麗な映像に目が釘付け!心が動かされました。
鶏の場面は、なんだか恐ろしいような、滑稽なような。
あのあり得なさ加減も夢のようでした。

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