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『キングス&クイーン』

Roisetreine わたしにとっては『そして僕は恋をする』以来、ほぼ10年ぶりのデプレシャン監督作品。
これぞフランス映画って、かんじがする。恋愛と人生を饒舌に語っている。

パリで画廊を営むノラは、3度目の結婚を控えている。死別した最初の夫ピエールとの間に生まれた子供エリアスを自分の父親のところに預けているが、その父親がガンで余命幾ばくも無いことを知る。一方、ノラの2番目の夫(未入籍)イスマエルは、ある日突然精神病院に強制入院させられてしまう。
ノラはそんなイスマエルにエリアスを養子にしてもらおうと頼む。

ノラの物語とイスマエルの物語が並行して語られ、そして交錯する。
時にドラマティックに、時にコミカルに、たくさんの要素を含んでいるエピソードの数々に感情を揺らされながら、映画に惹き込まれていった。

なんといっても、ノラを演じるエマニュエル・ドゥヴォスが素晴らしい。
けっして美人ではないのに強く印象に残る顔、甘い声の可愛らしい話し方が、とても個性的で、記憶に残る。
結婚を控えている彼に対する態度や画廊での振る舞いは堂々たるもので、傲岸にも見える女王ぶり。
そんな彼女が父親を訪れる際にみせる緊張や高揚の表情はまるで少女のようで、父娘の結びつきの複雑さを想像させる。
父に愛され、父に制御され、父に頼り、父を愛し、父を崇拝し、父から罵倒される。その深い繋がりは恐ろしいほどで、こんなことに耐えられるノラという女性は、一体どれほどの強さを持っているのだろうか、と驚く。

自由奔放に生きているイスマエルも魅力的。マチュー・アマルリックの目が素敵。
精神病院に強制入院させられるヒドいシークエンスにも、笑えるくらい。

イスマエルがエリアスに語り聞かせるエピローグは、感動的だった。明るい階段、光のまぶしい窓辺で語られる、希望に満ちた言葉の数々。
愛した人が2人も生きているなんて素晴らしいことだと気づくノラの幸福感もあって、幸せな余韻が残った。

シアターイメージフォーラムの地下は、2回目。1回目はタルコフスキー監督『惑星ソラリス』で、最前列に座って気持ち悪くなった。基本的に、小さな劇場では最前列に座るわたしだけれど、ここの最前列はダメ。
本日も混雑していたので、左サイドの前から2番目の席。中央ブロックの3列目の位置だったけど、ここからだとかなり斜め横からの鑑賞になって、画面の歪みがずっと気になったまま。普通は、観ているうちに目が慣れていくものだけど、そんなものではなかった。画面サイズが大きいのは良いけれど、バランスが悪いのは考えもの。
条件の良い環境でもう1度見直したいと思うほど、ツラい鑑賞だったことは残念。

シアターイメージフォーラムにて(公式サイト

監督/脚本:アルノー・デプレシャン
脚本:ロジェ・ボーボ
撮影:エリック・ゴーティエ
出演:エマニュエル・ドゥボス、マチュー・アマルリック、カトリーヌ・ドヌーブ、モーリス・ガレル

Rois et Reine  2004  フランス

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コメント

ぼんじゅーる。
私は結局イメフォに2度目を見に行ってしまいました。
日仏学院の方が心地よかったかも。
私もミニシアターでは前の方に座ることが多いんですが、イメフォは後ろの方です。
エマニュエル・ドゥヴォスって声可愛いんですよね。
生を見た時は、しぐさもお茶目な感じでした。

こんにちは、こちらにもひとこと。
私、この映画観たとき、ものすごく具合が悪くなって、自分のせいだと思ってたんですが、やっぱりあの劇場の状態のせいもあったのかもとこちらの記事を読んで思いました。私も混んでいたのでかなり前のしかも斜めから観ていたので。
また行くことがあったら後ろの方に座ってみたいと思います。

かえるさん、ぼんそわっ。
2度目ご覧になったのですねー。
わたしも、リベンジしようかなー。アンジェリカでも上映されるんですよね。イメージフォーラムのほうが、スクリーンは大きかったと思うので、早めに受付して挑むか。
日仏学院で観たかったなー。

かえるさんは、生エマニュエル・ドゥヴォスを見たことあるのですね。
頭が良さそうな女優さん、という印象です。

わかばさん♪
そうだったのですね。
いつでも誰よりも前の席に座る派のワタクシでも、あの劇場はダメでしたから、大抵の人はダメなのではないでしょうか。
規模に対するスクリーンの大きさが自慢みたいですけど、座席配置については、かなり疑問です。
両サイドのブロック、特に前のほうは禁止!

こちらにもお邪魔しますです♪
博物館のシーンは良かったですねえ。
とても希望に満ち溢れていました。
マチュー、お茶目だしすごく好きになってしまったのでした~
また再上映があるんですよね。でも、どうにも長くて気持ちにゆとりがないと見られないわ~泣

charlotteさん、コメントありがとうございますー。
希望に満ちた余韻が残りましたよね。
マチューは、本当に魅力的でした。全然美男子ではないのに、彼も印象に残る俳優さんですよね。
先日、別の映画を観るためこの映画館に行ったのですが、まだ混んでいるみたいでした。
ロングランになりそうですね。アンジェリカでもやるみたいですし。
また行きたいのですが、確かに長いんですよねー。
気持ちの余裕と体力がある時に観たいと思っていると見逃してしまうし。

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人生というものを描いた濃密なフランス映画たるフランス映画。 アルノー・デプレシャンとマチュー・アマルリックに惚れた。「ムーン・リバー」それは、なんて映画的な音楽なんだろう。そして、主人公ノラを演じるエマニュエル・ドゥヴォスの登場。台本には"スキャンダラスなほどに美しい女性がタクシーから降りてくる"と書いてあるそうだ。ドゥヴォスがスキャンダラスなほどに美しい風貌をしているとは思わない。だけどそこに現れたのは紛れもなく女王の風格をもった美しい女性なのだということが一瞬にしてわかり、物語の始まりに心が躍... [続きを読む]

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一人の女性の運命と、一人の男性の心の冒険のような出来事を軸に、「養子と家族」というテーマ性を持って物語りは展開していく。 ノラのシーンは白人ポップスで、イスマエルのシーンはブラックアメリカンという感じに分けて表現されている模様。 ノラは愛を要求することをしない女性。 母親の存在は描かれてはいないが父にはかわいがられて育った王女様のよう。 孤独でそれに対してなんの不平不満を言わないが、実は傷つきやすくて繊... [続きを読む]

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