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『花よりもなほ』

Hanayorimo 剣の腕がからっきしダメな武士の仇討ち譚。
長屋の人々の生活が、活き活きと描かれていて楽しいんだけれど。

元禄十五年の江戸を舞台に、父の仇を討つために、信州松本から上京した青木宗左衛門は、貧乏長屋に住んでいる。実は、彼は剣の腕がからっきしダメ。仇もなかなか見つからないうちに、日々は過ぎていく。

主人公の宗左衛門は、剣の腕も弱くてあまり武士らしくない人物。岡田准一はその立ち姿が美しくて、弱い武士という設定とのギャップが面白かった。
元禄ということで、赤穂浪士の討ち入りと宗左衛門の仇討ちを対比させて、武士の面目なんて馬鹿馬鹿しいもので命が大切だ、ということを伝えたいのはわかるのだけど、世間から少し外れた長屋の人々が言葉で語ってしまうのが、ちとストレート過ぎに思える。そういうテーマは、もう少し控えめに表現してほしいなー。

とはいえ、長屋に住む人々が一癖も二癖もあって、それぞれの個性は楽しかった。
飄々と生きている古田新太、何度も狂言切腹を試みて武士の意地にしがみつく香川照之などなど。そして、紅一点の花、宮沢りえの凛とした美しさには、やはり心を打たれたし。
生類憐みの令の真っただ中で、●鍋を食べてしまう逞しさには笑うしかない。強欲大家も共犯にしてしまうし。
先日、歌舞伎座でも観た「井戸替え」などの、長屋の風物詩も楽しくみた。

馬場正男が加わったという汚〜い貧乏長屋の美術とか黒澤和子によるボロボロの衣服とか、観ている時にはそれら作り込まれたモノの映像に湿度を感じられなかったことが、ちょっと不満だった。けど、軽やかなタブラトゥーラの音楽を使っていることも合わせると、明るい映画を作ろうとしたその意図の表れなのかも、と考え直した。貧乏長屋の悲惨さを、人間の軽やかな逞しさへと変えたということなのかと。

「桜は潔く散るから美しいけれど、潔く散るのは来年また咲くことを知っているからなのかも」というのは、目から鱗の言葉。

丸の内ピカデリーにて(公式サイト

監督/脚本/原案/編集:是枝裕和
撮影:山崎裕
美術:磯見俊裕、馬場正男
衣裳:黒澤和子
音楽:タブラトゥーラ
出演:岡田准一、宮沢りえ、古田新太、浅野忠信、香川照之、國村隼、原田芳雄、中村嘉葎雄、田畑智子、夏川結衣、上島竜兵、千原靖史、木村祐一、加瀬亮、絵沢萠子、平泉成、石橋蓮司、寺島進

2006 日本

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コメント

私は、世間に外れた長屋の人に語らせてるので、まともな人の意見じゃなくてってスタンスかと思ってました(^^ゞ。
あだ討ちvs非あだ討ちのディスカッションドラマだと、勝手に思ってたのがいけませんでしたm(__)m。

悠さん、こんにちは。
アウトローに語らせるにしても、ストレートだなー、と感じてしまったのでした。
実際、赤穂浪士でも仇討ちから抜けてしまった人がたくさんいたわけなので、命が惜しいのは確かなことだと思います。そして、赤穂浪士が英雄になってしまうということを皮肉に描くというのも、嫌いではないのです。

>勝手に思ってたのがいけませんでしたm(__)m。
いけなくないですよー。人それぞれの感じ方がある映画のほうが面白いですもの。

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長屋にあつまってくる赤穂浪士の面々、よかったですね。田中さん、仲間から脱落する人 [続きを読む]

» 花よりもなほ [パピ子と一緒にケ・セ・ラ・セラ]
監督:是枝裕和出演:岡田准一/宮沢りえ/古田新太/國村準/中村嘉葎雄/浅野忠信/原田芳雄 物語父の仇を討つため信州松本から江戸に出てきた青木宗左衛門は、おんぼろ長屋で実家からの仕送りだけが頼みの貧乏生活を送りつつ、憎き仇、金沢十兵衛の所在を探っていた。...... [続きを読む]

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