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『バッシング』

Bashing 2004年にイラクで起こった日本人人質事件をヒントにしたという作品。
事件とは直接関係ないとしているけれど、まだ記憶も生々しいので、思い出さずにはいられない。

主人公の有子が、突然アルバイト先のホテルをクビになるところから映画は始まる。

彼女には、味方がいない。守ってくれるはずの家族からも距離をおいている。父親は会社に退職を強いられ、辞職した後で自殺してしまう。付き合っていた彼からは責められる。

しかし、有子に同情的な気持ちを持つことはできない。
彼女は、コンビニでおでんを買う。“具ごとに別々の容器にいれ、つゆをたくさんいれるように”と注文をする。コンビニの店員くらいにしか自己主張することができないから、威張っているように見える。
ゴミがたくさんでてしまうような買い方だし、そもそもコンビニのおでんを買うのかよ、という苦々しい思いを持ってしまう。
ボランティアをする人間が、聖人君子である必要はないと思うけれど、もう少し考えてほしい。
ちょっとよさげなスポーツサイクルに乗って、パソコンもいいの持っているし、そういうのって、どうなんだろう。
どんな人間であろうと、バッシングされる理由にはならない、ということ?

彼女のボランティアに対する思いは、彼女の口から語られる。
彼女のしたちょっとしたことで、笑顔をもらえる。子供たちが「ゆうこ、ゆうこ」と集まってきてくれる。そのことがうれしいんだ、と。ボランティアが彼女にとって逃避に過ぎなくても、そこに行かずにはいられない、という気持ちはわかるんだけれど。でも、危険地帯でボランティアをしようとする人が、日本では孤独っていう図式は、ありなのだろうか。

受け入れられる世界は、自分ひとりで見つけなくてはならない、ということなのかもしれないけれど、だったら実際の事件を想起させる物語でなくても良かったのではないかと思った。

なんとなく、消化不良な気持ちの残る映画だった。

シアター・イメージフォーラムにて(公式サイト

監督/脚本:小林政広
出演:占部房子、大塚寧々、田中隆三

BASHING 2005 日本

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コメント

気持ちのいい作品ではなかったですね。
全く。むしろ対極。
たしかに実際の事件を想起させる設定にする必要はなかったかもしれません。
監督は全ての日本人に悪意を向けているような…
そんなこともないですかね。
いや僕はこれ結構好きだったんですけれどもw

現象さん、こんにちは。
不快に思うほど物語に圧倒されたわけでもなく、結構冷静に、監督が訴えたいことは何なのか?という疑問を持ちながら観ていました。
>全ての日本人に悪意を向けているような…
確かに、良い人とか共感できる人っていなかったかも。
事件のことを考えないで観ることができたら、もう少し印象が変わっていたのかもと、思いました。
カンヌのコンペ作品になったり、フィルメックス(審査員に日本人は1人)で最優秀作品賞をとったり、外国の人は素直にテーマを感じられるのかもしれないなー、と思ったりも。

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