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『ミュンヘン』

Munichホテル・ルワンダ』との二本立てとは、新文芸坐も重い組み合わせにしたものだ。
なんと162分という長さを知らずに観始めたのだけれど、一気に最後まで引き込まれた。ふぅ。

1972年9月5日、ミュンヘン・オリンピック開催中、パレスチナゲリラ“ブラック・セプテンバー”がイスラエル選手団を襲撃し、人質となった11名全員が犠牲となる事件が起きた。イスラエル政府は秘密情報機関“モサド”にパレスチナゲリラ11人の暗殺を命じる。

発端となる1972年の事件を再現する場面から、ざらついた画質が持つ当時のフィルムのような臨場感に引き込まれた。

とにかくヴァイオレンス場面がリアルで、人を殺すという行為を生々しく感じさせて恐ろしい。そして、失敗が許されない任務の重さが持つ緊張感もひしひしと感じられた。

極秘任務だから、家族とも祖国とも関係を絶たなくてはならない。なので、暗殺チームは、自力で標的を探し出さなければならない。本当に自力では無理なので、裏社会の情報屋と繋がりを持つことになる。この情報屋を全面的に信じて行動しなければならない、という危険な香りのする状況も緊迫感の元。

暗殺チームのリーダであるアヴナーは、人を殺したことがない若者。車輌のスペシャリスト、後処理のスペシャリスト、爆弾のスペシャリスト、そして文書偽造のスペシャリストの4人のメンバと共に、任務を遂行する。スペシャリスト集団といっても、手順がもたついたり、爆発の規模が予想と違っていたり、それほどスラスラとうまく運ばないところが、緊張感を煽る。
特に、電話に仕掛けた爆弾を使う場面では、標的の娘が巻き添えになりそうでハラハラさせられた。
世界に名だたるモサドがそうなのねー、という驚きもあったけれど、その辺りにも生身の人間が任務を遂行している実感があって、リアルではあった。

祖国を獲得したユダヤの民と、祖国を失ったパレスチナの民。敵対する組織が同じ隠れ家で鉢合わせした場面では、平行線をたどるしかない主張が繰り広げられた。

報復はそれに対する報復を生むことをアヴナーは実感する。そして、現在に繋がるラスト・シーン。

ジョン・ウィリアムズの重厚な音楽も素晴らしく、緊迫感を途切れさせなかった。

情報屋で出演したマチュー・アマルリック。鋭い目の切れ者っぽい雰囲気で裏世界の男を演じて、ヨーロッパな雰囲気を出していた。スーツ姿も素敵だった。

新文芸坐にて(公式サイト

監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:トニー・クシュナー、エリック・ロス
撮影:ヤヌス・カミンスキー
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:エリック・バナ、ダニエル・クレイグ 、キアラン・ハインズ 、マチュー・カソヴィッツ 、ハンス・ジシュラー、ジェフリー・ラッシュ、アイェレット・ゾラー、ギラ・アルマゴール、ミシェル・ロンズデール、マチュー・アマルリック

MUNICH  2005  アメリカ

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コメント

情報屋さん、かっこよかった、国にたよらず生きる。料理のうまいパパも。
それと、千一夜を訳しているテロリストも。
テロリストは、やっぱり、頭がよくないとつとまらないですよね。

悠さん、こんばんは。
情報屋さん、格好良かったですよねー。マチュー・アマルリックは、気になる俳優です。
裏世界で生きていくことは大変だけれど、国に頼らずファミリーを守る迫力がありました。
お宅が、ヨーロッパらしくて素敵でした。

こちらにも失礼致します。

おおおっ、「ホテル・ルワンダ」と2本立てだったんですねー!!
実話を元にした2本・・・・・
重く、そして、心にずしんと深く残る作品。
さぞかし忘れられない一日になったことでしょうなあー・・・

この映画にもダニエル・クレイグが出ていたんですよねー
そして、エリック・バナの演技が良かったですよね(・・・正直言って「ハルク」の時はそれほど良いとは思わなかった。汗)
マチュー・カソヴィッツなど、堅実で芸達者な役者を起用、そして、当時の服装(・・・幅広衿にピチピチしたシャツ!)、緊迫した世界情勢など、見事に再現したと思いましたです。

Puffさん、こちらにもどうもですー♪

そうなんですよー、凄い組み合わせですよねぇ。
どちらも比較的最近の事件(少なくても第二次世界大戦後)を扱っていて、思い出す時に少し混乱してしまいます。

そして、ダニエル・クレイグ出てましたねー。この映画では、あまり知的ではなくて少し粗暴なキャラクタでしたね。
エリック・バナは、内省的なかんじが良かったです。
「ハルク」は観ていないけど、「トロイ」は観ました。
>当時の服装(・・・幅広衿にピチピチしたシャツ!)
そうでしたね。幅広衿はよいとして、ピチピチのシャツは時代を感じさせてくれました。
マチュー・カソヴィッツには、感想を書くまで気づいていなかったワタシです。だって、くたびれたかんじで、老けて見えたのですものー。

いわいさん、こんばんわ。
TB&コメントありがとうございます。
『ホテル・ルワンダ』との2本立て。ズッシリくる組み合わせですね。お疲れ様でした~
>失敗が許されない任務の重さ
想像を絶するものがありましたね。骨太でアッと言う間の162分でありました。

隣の評論家さん、こんにちは。
ズッシリときました。
特に、これは長かったのでお尻も痛くなってしまったし。
観ている感覚としてはアッと言う間だったのですけれど。

実話であるということと、比較的現在に近い事件だということで、何となく重なる部分もありました。
エリック・バナが良かったです。

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