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『新学期・操行ゼロ』『D.I.』ーBOW30映画祭ー

ちょっと変わった2本立て。
1933年のフランス映画と、2002年のフランス&パレスチナ合作映画。
今回のラインナップ中で、最古作と最新作の組み合わせ。

Zerodeconduite「新学期・操行ゼロ」
天才の呼び声も高きジャン・ヴィゴ監督。反権力的内容から、1945年まで上映禁止となっていたという45分の中編。
“操行ゼロ”って、“日曜日外出禁止!”ということらしい。

夏休みが終わって新学期を迎えた子供たち。寄宿舎での生活は、様々な規則で縛られている。舎監の横暴や、生徒たちへの監視行動などなど。
学園祭を前に、悪ガキ3人組は反乱を計画する。

汽車で学校に向かう2人の少年のやり取りが、軽快な音楽と共に映し出される冒頭から、瑞々しさに溢れていた。何気ない仕草に微笑んでしまう。
教師たち大人がみせる傲慢に対抗する少年たちの姿は、自由の喜びに満ちている。
少女と見まごうくらいに美しい少年が見せる教師への反抗は痛快で、悪ガキ3人組に仲間入りしちゃうのも楽しい。
そして、息をのむほど美しい“革命前夜”。なるほど、名場面お墨付き!だったのね。
暴れまくる学園祭には、思わず応援。

久しぶりにこういう雰囲気の作品を観られた気がする。

監督/脚本/台詞/編集:ジャン・ヴィゴ
撮影:ボリス・カウフマン
音楽:モーリス・ジョベール
出演:ジャン・ダステ、ルイ・ルフェーブル、ジルベール・ブリュション、ココ・ゴルステン、ジェラール・ド・ベダリュー、ロベール・ル・フロン
ZERO DE CONDUITE 1933 フランス

Di 『D.I.』
イスラエル人国籍のパレスチナ人エリア・スレイマン監督による皮肉でブラックなエピソード満載のコメディだそう。

公開時の予告編を観たことを忘れていて、前情報なしで臨んだので、コメディだとわかるのに時間が掛かってしまった。

赤い服の男が子供たちに追いかけられている遠景を映し出す冒頭場面。近寄っていくと赤い服はサンタクロースの扮装だとわかる。プレゼントの包みを落としながら必死に逃げる姿には笑えてしまうのだが、追いつめられて振り向いた彼の胸にはナイフが深々と刺さっている。

監督本人が演じる主人公らしき人物もヒロインも台詞なしでサイレント映画のよう。皮肉に満ちたギャグを演じているような街の人々の日常生活が淡々と描かれていて、恐ろしいような笑えるような。

敵のイスラエル兵士が見守る一触即発のチェック・ポイントを、クールな美女がサングラスをハズしただけで、監視塔までぐらぐらさせて突破していく、お色気攻撃。
食べた果物の種をあてただけで、戦車が爆発しちゃう。
赤い“アラファト風船”がエルサレムの上空、観光スポットを眺めつつ飛ぶ。
極めつけは、ニンジャ・バトル。ばかばかしーほどのアクションに度肝を抜かれた。音楽も楽しいし、目が釘付け。

前知識があったほうが楽しめるのかもしれないけれど、それでもクスリと笑えた。中東紛争を逆手にとったようなギャグの数々は、観る度に発見がありそうで、クセになりそう。

監督/脚本/出演:エリア・スレイマン
撮影:マルク=アンドレ・バティーニュ
出演:マナル・ハーデル、ナーエフ・ダヘル、ナジーラ・スレイマン

Divine Intervention-Yadon Illaheya 2002 フランス=パレスチナ

2日間のプログラムで、1日1回のみの上映だから、かなり混んでいた。

『ラルジャン』の前売りが残りわずかという情報を、“working title -annex-”のわかばさんから教えていただき、前売りを買いがてらの鑑賞。
とても面白かったので満足できた。でも、『D.I』を観ないで帰ってしまう人もチラホラで、もったいない気がした。

そして、前売り購入時、『ラルジャン』を一緒に買う人の多さに驚いた。わたしも仲間なのだけれど。。
ジャン・ヴィゴ目当ての人は、ブレッソンも観たいと思うのは当然なのかな。

シャンテシネにて BOW30映画祭

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コメント

こんばんは。
名前出していただいてありがとうございます(笑)。その後、「ラルジャン」だけでなく、売り切れ作続出してましたね。
昨日「悲情城市」を観に行きましたが、3回とも完売&最終回は立ち見を入れていました。
ぜひ今後も毎年開催とか、考えて欲しいですね。

ヴィゴ監督作品は、本当に画面が美しくって、でもガキんちょたちが(いい意味で)汚れてて、その対比みたいなのがよいなーと感じました。「大人は判ってくれない」を思い出したのですが、やはり影響を受けているみたいですね。
近々私も感想書きますー。
「D.I.」は、そう、音楽のセンスがよかったですよね~。サントラ買おうかと思いました。
かなりシュールだし、予備知識もある程度求められるけれど、監督のこのペースというか、トーンに慣れてから観ると、また違う見方ができそうですよね。

わかばさん、こんにちは。
お名前だしたこと、お知らせしてませんでした。
わたしも『非情城市』観ました。完売のハズが空席もチラホラ。前売り手に入れてても、来られない人もいますよね。平日だし。本当に、毎年開催して欲しいです。

わたしも「大人は判ってくれない」を思い出しました。やはり影響を受けているのですね。
『D.I.』は、わかばさんが書かれているように、笑ってしまうのにも力がいるということを感じました。
予備知識がなくても面白いけど、あればあるだけ、深い見方ができそうですよね。
そういう作品って、いいですよねー。好きです。

うーん、これ見たかったんですよね僕…
なんかアバンギャルドなにおいを感じました。
特に「新学期・操行ゼロ」。
お墨付きのそのシーンを見逃したことをいまだに悔やんでます。

現象さん、どうもですー♪
『新学期・操行ゼロ』は、アヴァンギャルドという紹介も読みましたけれど、わたしはあまりそうは感じませんでした。上映禁止になったくらいだから、当時としてはかなり過激だったのだろうなー、と思うくらいで。。
お墨付きの場面のことをわたしは事前に知らなかったのですが、場内全体が「ほぅー、これだっ!」って感じになったので、待っていた人が多かったのだなと思いました。

『D.I』は、ユーロスペースで公開された記憶があります。観ておけば良かったなーと思いました。

どうもです。
一人で二つもTBしてしまいました。ちょろっと「新学期~」の感想も書いてみました。
当時としてはものすごく画期的だったんだろうな、とは思うけれど、今だとびっくりはしないですよね。でも美しいし、変な校長とかも映画的だなーと思いました。

わかばさん、こんばんはー♪
そうなんですよね。当時としては、ものすごーく画期的だったんだろうな、とちょっと冷めた目で観てしまうところがありました。
でも、こういうちょっとした映画って、今は作れないんだろうとも思いました。そう、美しかったし、とても映画的だとも。
わたしも、BOW映画祭のまとめを書きたいと思っていますので、またお邪魔しますねー。

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