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『六月大歌舞伎』夜の部

June_kabuki 夜の部のお目当ては、やっぱり『身替座禅』!

一、「暗闇の丑松(くらやみのうしまつ)」長谷川伸作
くっらーーい。芝居自体も暗いのだけれど、一幕目の幕開きは照明が暗いの。舞台の上がほとんど見えないくらいに暗い。三階の最前列からでもそうなのだから、一幕見の人なんて全然見えないのではないのだろうか。

料理人の丑松には女房のお米がいて、お米の母親お熊の家に身を寄せている。お熊は強欲で、金のない丑松を気に入らず、娘をいじめる日々。お米を別の男のところへ妾にやろうとしているところへ、丑松が帰ってきて、お米と迎えの浪人を斬り殺してしまう。
幸四郎の丑松は、こういう暗い役はハマる。自首しようとする丑松だったが、お米に説得されて、逃げることを決意する。2人で逃げようと積極的に丑松に働きかけるお米は、福助にハマっている。

兄貴分の四郎兵衛にお米を預けて、旅に出た丑松は、1年後にお米と再会する。女郎になっていたお米をなじる丑松は、四郎兵衛に騙されたと聞いても、それを信じられない。お米が首を吊って死んだ後に、周りの人の話から真実を理解した丑松は、四郎兵衛とその女房お今に復讐すると、またどこかへ逃げ去っていく。

丑松とお米の転落の話には、暗いけれどもリアリティがあった。

四郎兵衛の女房お今は、秀太郎。意地悪で愚かな女を、いやらしいまでに色っぽくやっていた。衿の抜きっぷりが普通じゃない。殺されて倒れた時には、肩が丸出しになっていた。ふー。

暗闇の丑松:幸四郎、女房お米:福助、料理人祐次:染五郎、建具職人熊吉:高麗蔵、建具職人八五郎:男女蔵、料理人作公:亀寿、料理人伝公:亀鶴、料理人巳之吉:宗之助、お米の母お熊:鐵之助、杉屋遣手おくの:歌江、板橋の使い六造:幸右衛門、杉屋妓夫三吉:錦吾、浪人潮止当四郎:権十郎、岡ッ引常松:友右衛門、四郎兵衛:段四郎、女房お今:秀太郎

二、新古演劇十種の内「身替座禅(みがわりざぜん)」常磐津連中、長唄連中
暗い芝居の後には、バカバカしいくらいに明るい狂言舞踊。

大名山蔭右京は、愛しい花子のもとへ通う口実に、持仏堂に籠って座禅をすると言い出す。奥方の玉の井は、一晩だけならと渋々許可するのだが、途中で様子を見に行ったところ、座禅をしているのは太郎冠者。怒った玉の井は、太郎冠者に替わって座禅衾をかぶって、右京の帰りを待つことに。帰宅した右京は、そうとは知らずに、逢瀬の様子を細かに語って聞かせてしまったから、さぁ大変。衾をとって、現れた玉の井から、逃げ出す右京なのだった。

妻は恐いけれど浮気はしたい、というのは誰にでも分かりやすい心情らしく、いつでも爆笑を呼ぶ演目だ。
今回も、菊五郎の右京と仁左衛門の玉の井なので、手慣れたもの。
右京が玉の井を説得するやり取りが、可笑しい。玉の井は恐いんだけれど、何だか可愛らしいし、右京の浮気をしたい気持ちは憎めないかんじ。
逢瀬から返ってきた右京のデロデロぶりと、怒り狂う玉の井に気づかない様子が笑える。玉の井のプゥとほっぺをふくれさせた顔が可愛いー。

浮気されてしまう妻の話でもあるのに、女性客も夫側に味方して観ているようなのが、面白いところ。

山蔭右京:菊五郎、太郎冠者:翫雀、侍女小枝:梅枝、侍女千枝:松也、奥方玉の井:仁左衛門

三、「二人夕霧(ににんゆうぎり)」
   傾城買指南所
「廓文章」の後日譚で、パロディとなっている。
仁左衛門の「廓文章」を何回も観ているので、パロディだということはわかるのだけれど、それほど楽しくはなかったのはなぜだろう。

“先の夕霧”の死後、藤屋伊左衛門は“後の夕霧”を身請けした。“傾城買指南所”を開いて、弟子たちに傾城買の指南をして生計をたてているふたり。そこへ、死んだはずの夕霧が現われる。

伊左衛門は梅玉、後の夕霧は時蔵、先の夕霧は魁春。悪くはないのだけれど、上方和事らしいかというと、びみょー。

幕切れがバカバカしかったので良しとしよう。

藤屋伊左衛門:梅玉、後の夕霧:時蔵、弟子いや風:翫雀、弟子小れん:門之助、弟子てんれつ:松江、三つ物屋四九兵衛:團蔵、おきさ:東蔵、先の夕霧:魁春

歌舞伎座にて

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コメント

いわいさん、ご無沙汰しています。
いいなあ、「身替座禅」見たかったです!!
菊五郎さんの右京は、ほとんど「まんま」ですものね(笑)。
しょーもないけど、何だか憎めないとうあの役柄は
まさに彼に「アテ書き」したかのようですねぇ。
玉の井のプゥとほっぺをふくれさせた顔も見たかったなあ。

ゆっこさん、いらっしゃいませ。こんにちはー。
「身替座禅」は、安心して楽しむことができる演目ですよね。
誰でも面白いのだけれど、やはり菊五郎さんの右京は格別です。確かに「アテ書き」みたいですね。
仁左衛門さまの玉の井は、細くて背が高いのだけれど、可愛らしかったです。
ほっぺをプゥとしたお顔の生写真を買ってしまいました。

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» 六月大歌舞伎(夜の部) [Peaceful Easy Feeling]
六月大歌舞伎(夜の部) 歌舞伎座 2006年6月10日(日)16時30分開演 3階2列43番 午前10時に7月歌舞伎座の予約をして、昼過ぎに月一回の散髪に行ってさっぱりした後で歌舞伎座に向かう。丁度昼夜入れ替えの時間に当たり、地下鉄の出口前がごった返していた。 今日は久々に3階席。最近西側売店で見かけなかった「鹿の子」と「めでたい焼」がおでん食堂の横に並んでいた。    長谷川伸 作 1.暗闇の丑松  三幕 同じ長谷川伸でも「一本刀土俵入」「瞼の母」「刺青奇偶」と比べると... [続きを読む]

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