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『蛇の道』『大いなる幻影』

シネマヴェーラ渋谷で開催中の“黒沢清による「絶対に成熟しない」KUROSAWA映画まつり”で、2本鑑賞。

月曜日の朝一といっても、11時上映開始。15分前に到着したら、番号が2番だった。映画館に入ったら誰もいないし。もう1人後から入ってきたような気がしたけれど、ほとんど貸切状態で快適に鑑賞。(頑張れ シネマヴェーラ渋谷! 応援してます!

Hebinomichi『蛇の道』1998年
幼い娘を性的暴行の末に殺された宮下が、謎の塾講師新島の助けを借りて、犯人を追求していく。

いやもう、本当に恐ろしい話だった。復讐のカタルシスはなくて、心に重い鉛を打ち込まれたような後味の悪さが残った。凄いよ、黒沢清監督。

犯人と思われる人間を次々と拉致し監禁する廃工場の不気味さもまた、格別。
監禁して行う拷問は、精神的に追いつめる類いのもので、人間性を破壊されるような気持ち悪さ。こういうのもありなのか。

復讐者である宮下よりも、協力者である新島のほうがイニシアティブを握っていることは明らかで、新島が宮下に協力している目的は何かという疑問が次第に大きく浮かび上がってくる。85分という時間、ずっと気が抜けない緊張感が続く。

新島が塾で教えている数式らしきものも謎。物理学のようだけれど、架空のもののような。生徒たちは年齢も性別もバラバラで、学習の目的が不明なところも、気持ち悪い。ピカイチの天才が、8歳の女の子というのは、象徴的。

復讐に向かって突き進み、次第に壊れていく宮下を、香川照之。恐い。
無表情に淡々と行動する謎めいた新島を、哀川翔。凄い。

監督:黒沢清
脚本:高橋洋
撮影:田村正毅
出演:哀川翔、香川照之、柳ユーレイ

Barrenillusion 『大いなる幻影 Barren Illusion』1999年
2005年という製作年からみると、ちょっと未来を舞台にして、ハルとミチのカップルのすれ違い、別れ、再会を描いている。

ハルは、周りの風景に溶け込んで消えてなくなりそうな自分の存在を知っている。
ミチは、国外宛の郵便を扱う郵便局に勤めていて、時々気に入った小包を盗んで、自宅にコレクションしている。

なんとなく感じている不安。羽毛のような花粉が大量に舞う、外出も不自由な世界。生殖機能がなくなるかもしれないという副作用がある新薬。海岸に打ち上げられる白骨。明るいサンバのリズム。
どうにもならない閉塞感や、未来を既に失っているような喪失感を感じさせる断片の数々。

ヌーヴェルバーグの映画のように、疾走する青春なのかと感じさせる時もあったけれど、共感はできず。
実験映画のようなテイストに満ちた映画だった。

武田真治が演じるハルの絶望を感じさせるような明るい微笑みや、予告なく振るわれる暴力は印象的だったけど。

監督/脚本:黒沢清
撮影:柴主高秀
出演:武田真治、唯野未歩子、安井豊、松本正道、青山真治

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コメント

なんかすごそうですね「蛇の道」。
しかも撮影がたむらまさき!
無理してでも見ればよかったな…
「大いなる幻影」も黒沢監督が
「かなり好き勝手につくった」とコメントしてるのを聞いたことがあり、
興味深い反面、ちょっと及び腰になってました。

現象さん、こんばんは。
すごかったですよー、『蛇の道』。
人間の恐ろしさを見せられたというか、なんというか。
休憩時間にゾクゾクしていました。
まだ感想書いていませんが、全部で6本観たなかでは、これか『カリスマ』かが、一、二位を争う恐ろしさでした。

『大いなる幻影』についてのコメントは、なるほどです。
自主制作っぽいような、実験映画っぽいような。
観客に委ね過ぎかもな気もしましたけど。

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