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『四畳半襖の裏張り』『黒薔薇昇天』

新文芸坐の特集“脇役列伝 脇役で輝いた名優たち”を鑑賞。
脇役“芹明香”をフィーチャした神代辰巳監督の日活ロマンポルノ作品[R-18]2本立て!

『四畳半襖の裏張り』1973年
大正中期、東京・山の手の花街。遊び人信介と初会の芸者袖子とは、蚊帳の中で情事を交わす。別の置屋では、先輩芸者花枝は後輩芸者花丸に、客を取る際の心得を教えている。また、別の芸者は、許嫁だったシベリア出兵前の兵隊と情を交わす。

置屋の板壁が濡れたように黒光りして、木目が美しい。
闇が暗く黒く、艶めかしい。
蚊帳の中で行われる情事は、密やかに始まり激しさを増していく。布団の重なり、電気スタンドの微かな光、着物を脱がせるシュルシュルという衣擦れの音、息遣い、喘ぎ声、それらの要素が構成するエロス。それは、まさに濡れ場だった。
情事の場面の合間に挿入されるのは、米騒動の号外を売る騒がしい街の光景、縦に書かれた芸者の心得、先輩芸者が後輩芸者に伝授する心得とその実践場面。それが、不思議なリズムを醸し出していた。
大正中期という時代を浮き上がらせようとする、軽妙で実験的な雰囲気もあり。

宮下順子はさすがの色っぽさ。先輩芸者・絵沢萠子の荒みっぷり、半玉・芹明香のふてぶてしいような若さ。

監督/脚本:神代辰巳
撮影:姫田真左久
原作:永井荷風(伝)「四畳半襖の下張」
出演:宮下順子、丘奈保美、絵沢萠子、江角英明、山谷初男、芹明香、粟津號

『黒薔薇昇天』1975年
大島渚と今村昌平を敬愛するブルーフィルムの監督十三。エロスこそ人間の本質だと芸術作品を作ることに奮闘している。
ある日出会った幾代という女に惚れてしまった十三は、幾代をブルーフィルムに出演させようと画策する。

十三の芸術への熱い気持ちがほとばしる艶笑コメディ。
金持ちの2号で欲求不満の幾代が十三に落とされ、絡み合ううち、ライトに照らされカメラを回されてしまう驚きと歓喜。
すっかり十三の女になって、女優にさせられてしまう幾代。
男優の身重の妻が「いったらあかんで」と言っているなかでの撮影は、監督である十三の嫉妬で中断。「わいはまだ修行が足らんのや」には、場内大受けだった。

十三役は、岸田森。生々しいエネルギィがあふれんばかりの怪演。
幾代役の谷ナオミは、あっけらかんとしたお色気を軽妙に。
脇役の芹明香は、男優の妻役で、若くてバカっぽい力強さ。

監督/脚本:神代辰巳
撮影:姫田真左久
原作:藤本義一「浪花色事師=ブルータス・ぶるーす」
出演:岸田森、谷ナオミ、芹明香、谷本一、高橋明、庄司三郎

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コメント

シネマアートンでの神代特集で見ました。
これを鑑賞からしばらく後に「花よりもなほ」を見たんですが、
それに絵沢萠子が出演してて驚きました。
驚いたのはブログに記事を書こうと、
その準備でサイトにて出演者の名前をチェックしていた時なんですけれども。

現象さん、こんばんは。
わたしも「花よりもなほ」観ましたよー。
すぐ後だったので、映画を観ている時に気づきました。
崩れたお色気が健在だったことに驚きました。
新文芸座は、男の老人ばかりで(わたしの前に並んでいた4人がシルバー料金!)、かなり緊張しながら鑑賞しました。つばを飲み込む音も響きそうだったし。
艶めかしい映像に感動しました。

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女衒が暗躍して街が色。若い女郎は軍人とねんごろになり、夫婦の契りを交わした。年増の女郎は馴染みの客が来なくなった。新米の女郎は下働きをしながら芸を磨く。大正の米騒動の頃、彼女たちの日常を描きながら、中年の遊び人・信介と女郎・袖子の初夜がカットバックで入る。... [続きを読む]

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