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『和宮様御留』

Kazunomiya 一昨年に花組芝居で上演した加納幸和の脚本をさらに練り上げ、新橋演舞場に登場とのこと。演出は、竹邑類。

日本が開国を迫られていた幕末、公武合体が唱えられ、皇妹和宮に将軍徳川家茂への降嫁の話が持ち上がる。
その「和宮降嫁」を題材にした、歴史ミステリィ。

「降嫁した和宮は実は替え玉だった」という大胆な仮説を押し進める物語は、歴史の流れに逆らうこともできずに翻弄される、フキという1人の少女の悲劇を生む。

シアターアプルで上演された花組芝居版を観劇しているけれど、時間も長くなっている分、どうにもならない事情をそれぞれが抱えていて、何も知らないフキが追いつめられていく様がより哀れで胸に迫った気がする。

花組芝居版でも、フキを演じた植本潤が今回も同じ役。追いつめられて狂っていく姿には、涙せずにはいられなかった。だけど、狂う姿に場内の半分位が笑うのだよなー。確かに、下女だったフキが慣れない御所生活にとまどう姿をコミカルに描いているから、はじめは笑えるのだけれど、次第に生気が無くなっていく様子が全身から伝わってきて、ゾッとするほど痛々しかった。周りのオネーサマたちが笑うなか、涙が止まらなかったのだった。

和宮の母である観行院役の池畑慎之助、その伯母上である勝光院役の加納幸和、和宮の乳人藤役の英太郎、そしてフキの植本潤と、歌舞伎以外で、女形が4人も同じ舞台上に登場するという場面には、おぉーっと妙な興奮を覚えた。
特に、フキ役の植本潤は女の子だと信じられていたと思う。脱がされてお風呂にいれられる場面では「あの子かわいそー」だったし、生着替えの場面では「あの子、また脱がされちゃうわよ、かわいそーねぇ」だった。恐るべし、植本潤。

花組芝居版を観ていたからか、たくさんの登場人物が織りなす複雑な人物関係が、とてもわかりやすくすんなりと物語に没頭できた。
御所言葉もすんなりと耳に馴染んだし。知人から、それは池畑慎之助と加納幸和の御所言葉が完璧なせいだと言われた。なるほどぉ。

大胆な仮説を基にした物語も面白いのだけれど、この群像劇を見事に見せてくれた役者たちも素晴らしかった。フキをサポートする少進役の波乃久里子は、出番が少なかったのが残念だったけれど。

新橋演舞場にて

原作:有吉佐和子
脚色:加納幸和
演出:竹邑類
出演:少進:波乃久里子/観行院:池畑慎之介/橋本実麗・勝光院:加納幸和/フキ:植本潤/岩倉具視:桂憲一/長橋の局:紅貴代/上臈花園:東千晃/乳人藤:英太郎/新倉覚左衛門:安井昌二/土井重五郎:松村雄基/庭田嗣子:小川眞由美

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