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『ベニーズ ビデオ』

再追加上映「これが最後だ!!ハネケ映画祭」のユーロスペースへ。

ビデオを通して、世界と繋がっているような少年ベニー。
自分専用の部屋を持ち、ビデオカメラもデッキも豊富に揃っている。
残酷なビデオを鑑賞することが好き。屠殺される豚の映像を何回も巻き戻して、「死ぬ瞬間」を何度も再生して見る。
昼間でも窓を閉め切っていて、窓の外の風景すらビデオカメラで映したものによって自分に取り込んでいる。モニタの映像こそが、彼にとっての現実なのかもしれない。
ある日、知り合ったばかりの少女を部屋に招き入れて、起こってしまう惨劇。
彼には、そうするつもりはなかったようだし、起こってしまったことを冷静に処理しながらも、実感はないように思える。街をフラフラとさまようベニーの気持ちに寄添うことはできないけれど、わかるような気もしてしまう、そのリアル感。

惨劇を撮影したビデオを見て、日常の延長のように対処を決める両親の姿と、その後で取った行動にも、衝撃的なリアリティがあった。

そして、ひねりのあるラスト。
最後までビデオを効果的に使って、その終わり方には驚くしかなかった。

事を起こした後に、ベニーは坊主頭にするのだけれど、周りの人々が皆、ネガティブな反応をすることが、日本と違うので面白かった。
理髪店のおじさんは「両親に恨まれたくない」と躊躇し、教師や両親は反抗の現れだと叱る。「アウシュビッツのようだ」と言っていた。
日本だと反省の気持ちから「頭を丸める」ということがあるけれど、ドイツでは違うのだな、と映画の内容とは別に興味深かった。

ユーロスペースにて

監督/脚本:ミヒャエル・ハネケ
出演:アルノ・フリッシュ、アンゲラ・ヴィンクラー

BENNY'S VIDEO  1992  オーストリア

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コメント

いわいさん、こんばんは。
ハネケの映画…ですか。うーん。『隠された記憶』しか観ていない、というより、それが初めてでしたが、カフカや坂口安吾(ちょっと違うかもしれないけど)のような世界で、あんまり頭の良くない自分にとっては、頭がぐちゃぐちゃになりそうになるのを必死で食い止めるような「世界観」だったように思います。こちらの感想を拝読しても、「あー、やっぱり…」と思う自分は、先入観あり過ぎ? 渋谷は、ちと遠いので、モチベーションがダウンしているとなかなか足が動きません(^^;)。

おはようございます。

昨日は「ドッグ・デイズ」にコメント&TBありがとうございました。(^.^)

私もハネケ映画祭で何本か鑑賞しました。
ベニー君すごいですよねー。
静かなる狂気にはヒィーってなりました。
テーブルにこぼした牛乳を拭く感覚で
少女の血を拭いてたベニー君の神経は普通じゃありません。
ラストの展開もエーって感じでした。(笑)
ビデオの使い方がうまいですね、ハネケ。

また遊びにきます。
今後ともよろしくおねがいします。♪

あかん隊さん、こんにちは。コメントありがとうございます。
この『ベニーズ ビデオ』の後に『隠された記憶』を観ました。ハネケ映画祭の『セブンス コンチネント』『71 フラグメンツ』と、『カフカの「城」』も。
何かありそうな不穏な空気に緊張を強いられて、そして、ラストまで観てもスッキリとさせてくれない、という映画だと思います。
ハネケ監督本人も、娯楽を提供するつもりはなく、観客が考えることを要求しているようです。
「正解がない」というのは、後に残るものですよね。
朝から観るのはかなり重かったですが、疲れた頭で臨むレイトショーよりは、ましだったかも。
わたしにとっても、モチベーションがかなり高まらないと、観たいと思えない映画でした。

chocolate さん、いらっしゃいませ♪
ハネケ映画祭、ご覧になったのですね。
わたしも、既に観ていた『ピアニスト』以外の作品を全て観ました。
ベニー君、狂気なのではなくて正気でやっているようなのが恐ろしかったです。
少女の血を拭いて、なかなかキレイにならない床とか、とりあえずクロゼットに押し込めてみたけれど、なくならない死体とか、ビデオの世界とは違う現実に直面しつつ、なかなか実感として受け入れられないのかなぁ、などと思いながら観てました。
ラストは、本当にエーって思って、そして終わりですもの。
朝から重かったです。

これからもよろしくお願いしまーす。

私も通いつめて、全作観ましたよん。
どれもそれぞれにおもしろかったですが、中でも、この『ベニーズ ビデオ』に一番うなりました。
エジプト旅行付きだったのが嬉しかったりして。

かえるさんもお疲れさまでしたー。
どれもそれぞれに面白かったですね、ハネケ作品。
わたしは『セブンス コンチネント』が一番印象に残ったかな。この『ベニーズ ビデオ』も凄かったです。
エジプト旅行。オーストリアの観光ツアーも、バスで移動していましたね。やっぱりプールには入るのねー、とか思いながらみてました。

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渋谷ユーロスペースにて開催された ミヒャエル・ハネケ映画祭に行ってきました。 「ファニー・ゲーム」「ピアニスト」ぐらいしか ハネケの作品って一般公開されてないけどどちらも衝撃的で・・・ 「ファニーゲーム」に関しては観客になることを許されず、 眠れないほど神経..... [続きを読む]

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