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『蟲たちの家』『アカルイミライ』

Musi シネマヴェーラ渋谷で開催している“黒沢清による「絶対に成熟しない」KUROSAWA映画まつり”で、2本鑑賞。

『楳図かずお恐怖劇場 蟲たちの家』2005年

巨匠楳図かずおのデビュー50周年を記念して製作されたホラー・オムニバスの1本。
わたしが初めて読んだ楳図かずおの漫画は「黒い猫面」。小学生の時に、多分親戚の家かなんかで読んだのだけれど、夜に1人で眠れなくなって、軽くトラウマになるくらいの恐怖を感じた。
大人になって再度読んでみたら、ほとんどしっかり内容を覚えていた。やはり強烈な体験だったのだ。
楳図かずおの漫画は、描き込まれていて、黒い。「ギャー」とか「ヒィー」とか、針吹き出しで表現される悲鳴が素晴らしい。そして、なんといっても、恐怖に凍りついた表情。

この映画は、楳図かずおの“ギャー”という世界ではなくて、黒沢清の静かで不気味な世界だった。原作の物語に、カフカの「変身」を絡めている。

「妻が人間でなくなった」と、自分に好意を寄せる後輩・羽奈子に打ち明ける蓮司。それが妄想かどうか確かめるために、蓮司の家に赴く2人。

妻の視点と夫の視点、そして、時制も入れ替わって描かれるサスペンス。
キャベツを刻む音や、家の軋む音が不気味に響き、不安定な構図が現実感を希薄にする。

緒川たまきのヴィジュアルは、『乱歩地獄』の「蟲」を連想させた。美しいから、こういうモノっぽい扱いがハマるのだろう。

監督:黒沢清
脚本:村井さだゆき
撮影:岡雅一
出演:西島秀俊、緒川たまき、内田朝陽、しらたひさこ


Akarui 『アカルイミライ』2003年

雄二(オダギリジョー)と守(浅野忠信)は、おしぼり工場でアルバイトをしている若者。
暴力的な衝動を抱えている雄二を制御し、落ち着いているように見える守だったけれど、彼も怒りを抱えていた。

理解あるような工場の社長(笹野高史)の説教は、オヤヂ臭くてイヤラシい。
5年ぶりに息子の守と対面する父親・真一郎(藤竜也)は、息子のことを理解できない。
猛毒を持つアカクラゲを真水に慣れさせて東京で生きられるようにしようとしていた守。

空っぽでフワフワと漂うような若者雄二と、若者を理解しようと努力しているうらぶれた中年の真一郎が出会うけれど、簡単に分かり合えるはずもない。

発光するクラゲは美しかった。でも、“アカルイミライ”を彼らに託すことはできない。ゲバラのTシャツをお揃いで着ている高校生たちにも。

監督/脚本:黒沢清
撮影:柴主高秀
出演:オダギリジョー、浅野忠信、藤竜也、笹野高史

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