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『リバティーン』

Libertine ジョニー・デップだし、17世紀英国のコスチュームプレイものだし、音楽がマイケル・ナイマンだし。好みの素材なので、とても楽しみにしていたのだけれど。

17世紀英国で国王に寵愛された実在の放蕩詩人、第2代ロチェスター伯爵ジョン・ウィルモットの半生を映画化している。

国王の怒りを買うような猥褻な詩を読む美貌の伯爵は、ジョニー・デップにぴったりだ。フリルひらひらのコスチュームもよくお似合い。女にも男にもモテモテだということにも納得の美しさ。それも、自らを汚さずにはいられない衝動を秘めた堕落的な美しさ。ジョン・ウィルモットは、国王の期待に応えない。反抗がエスカレートして、破滅へと堕ちていく姿が、ハマっている。

彼をめぐる3人の女性。妻と娼婦と女優。それぞれが、彼を愛している。
最も重要な女優役は、サマンサ・モートン。好きな女優なんだけれど、この映画の彼女は今ひとつ。客席にブーイングされてしまうような大根女優が、次第に情感溢れる名女優に変貌するさまが、全然伝わってこなかった。拍手喝采を浴びるオフィーリアの演技だって、ちっとも狂っているように見えないし。女優ぶりに納得できなかったので、それ以降の展開にも説得力を感じられなかった。
堕ちていく彼に愛想を尽かすことなく愛し続ける毅然とした妻役のロザムンド・パイクと、ありのままの彼を受け入れる献身的な娼婦役のケリー・ライリーは、とても良かった。

17世紀の英国を再現する美術や衣装は素晴らしいのだ。
でも、道が舗装されていなくてドロドロなところが執拗に映されすぎて過剰だし、その割には衣装の汚れ方が足りないように思える。中途半端な印象。
光源が少なくて暗い室内を表現したいのだろうけれど、画面が寒々しくてろうそくの明かりのように感じられない。放蕩で淫美な雰囲気を感じることができない映像が、残念だ。
だからなのか、マイケル・ナイマンの音楽が美し過ぎて浮いている気がしてしまう。

マイケル・ナイマンから連想してしまう、ピーター・グリーナウェイ監督がとても好きなので、どうしても比べてしまうのかも。美術と衣装も『ZOO』などでグリーナウェイ監督と組んでいたスタッフだそうだ。

堕ちるだけ堕ちた姿を見せつけて、最後に「さあ、私を好きになったかね?」
嫌われるのが怖いからわざと汚れてみせる甘えん坊なのだね、君は。嫌いにはなれないと思えるのは、ジョニー・デップが演じていたからかしら。

オリジナルは舞台らしく、舞台版ロチェスター伯爵は、ジョン・マルコヴィッチが演じたそうだ。さすがに、ジョン・マルコヴィッチでは無理でしたか。チャールズ2世でも、謎めいた目線とセクシィな声を堪能できたので、満足。

おまけ)
いけない言葉のオンパレード。女性器や男性器の言い方を学ぶことができた(にっこり)
知ってた言葉もあるけど、ディルドーなんて知らなかった。
ウィルモット作というあの舞台の映像は、度肝を抜いて面白かった。笑えたワタシは、不謹慎な大人です。

テアトルタイムズスクエアにて(公式サイト

監督:ローレンス・ダンモア
脚本/原作戯曲:スティーヴン・ジェフリーズ
撮影:アレクサンダー・メルマン
編集:ジル・ビルコック
美術:ベン・ヴァン・オズ
音楽:マイケル・ナイマン
衣装:ディーン・ヴァン・ストラーレン
出演:ジョニー・デップ、サマンサ・モートン、ジョン・マルコヴィッチ、ロザムンド・パイク、トム・ホランダー、ジョニー・ヴェガス、ジェーン:ケリー・ライリー、ジャック・ダヴェンポート、リチャード・コイル、フランチェスカ・アニス、ルパート・フレンド

The Libertine  2005  イギリス

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コメント

よくなかったですか、この映画。
私の方は、けっ、つまんないの、期待はずれってのが終わったあとの感想だったのですが、後から、あの、鼻もげ姿の演説とか、演技指導してる場面とか、大道芸のとことか、あれ、面白かったよねって感じに変わりました。不思議な映画でした(普通、第一印象がかわることってあまりないんですけど)。

悠さん、こんばんは。
映像に艶がないような気がしてしまって、今ひとつという感想になってしまいました。
面白かった部分も多いんですけれどね。
崩れていく伯爵に色気を感じてゾクゾクしてしまったり。
基本的には、コスプレ映画は好きなのです。
演技指導している場面は面白かったですね。
でも、本番の舞台で観衆が熱狂するのに納得できませんでした。

先日は、TB、コメントをありがとうございました。
こちらに来るのがすっかり遅くなってしまいました。汗

いわいさん、コスプレものもお好きなのですねー
渋い時代劇や演劇をご覧になっているので気が付きませんでした。エヘヘ
>マイケル・ナイマンの音楽が美し過ぎて浮いている気がしてしまう
ラストで曲が流れた時は鳥肌が立つ程だったけれど、確かに美し過ぎるというのは分かりますー
あ、、ワタクシもトンデモ劇を観て笑った不謹慎な大人です。笑

Puffさん、こんばんは♪
コスプレものはかなり好きです。
時代劇も日本のコスプレものですよね。うふ。
ケレンが好きなので、大げさなかんじのコスプレには それだけで心惹かれてしまうのかも。

マイケル・ナイマンのCDは、多分ほとんど持っているくらいに大好きです。
予告編で使われている音楽は、本当に素敵でしたよねー。
トンデモ劇は、ディテールが凝っていて素晴らしかったですね。お客様へのプレゼントもあったりしてー。

こんばんは。
あの舞台は度肝を抜く面白さでしたよね。
全部観たかったですー。あれでポイントUP!
周りはあんまり笑っていなかったけど・・・。

そうなんですよ。ケリー・ライリーはよかった。
でも、サマンサ・モートンはちょっとビミョーでしたね。
ニュージーランド映画『リバティーン』のモートンはすばらしくよかったのに。
台詞が少ない役の方が魅せる女優かなぁと思っています。
(ギター弾きの恋、マイノリティ・リポートとかw)

かえるさん、こんばんは♪
大きい声で笑える雰囲気ではなかったので、
笑いをこらえてプルプルと震えてしまいました。
確かに、全部観たかったかも。でも、俳優が降りてしまった、あんな場面が展開されるんですよね。R-18になってしまうと思われます。

サマンサ・モートンも悪くはなかったと思うんですけれど、ビミョーですよね。確かに、台詞よりも表情で魅せる女優なのかもしれません。
『ギター弾きの恋』の彼女には、惚れましたー。
『イン・アメリカ/三つの小さな願いごと』のお母さん役なんて、色っぽくて好きだったんですけれど。

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