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『白夜の女騎士(ワルキューレ)』

劇団夢の遊眠社が1986年に上演した野田秀樹の作品を、蜷川幸雄が演出。

国立代々木競技場で3部作を一挙上演した時の「彗星の使者(ジークフリート)」が、わたしの野田秀樹初体験だった。その時は、大きな舞台と膨大な台詞量、走り回る役者たちに圧倒されて、それで終わりだったんだと思う。
それほどハマらなかった。

神と巨人族とコビト族がヒト”を奪い合う神話の世界。
棒高飛びのコツを忘れてしまった少年”サスケ”と、”その後の信長”、その妹の”おまけ”がいる、日本。
その二つの物語が、行ったり来たりからみあう。
サスケがアマチュア無線仲間だと知ったその後の信長は、富士登山を目指す。
神々に追われる”ヒト”と、刑事に追われる”その後の信長”。追っ手は、富士山に迫っていた。

言葉遊びはたっぷり。2つの世界は、目まぐるしく変わる。

巨人は大きく、コビトは小さく、富士山は高く。そして、サスケは空を飛ぶ。
確かに、きっちりと具体化する蜷川演出。

空を飛ぶために懸命に助走するサスケ。松本潤は、青いかんじで良かった。そして、フライングの美しさにちょっと感動。
その後の信長は、重い過去を持つ男。軽妙な動きで笑わせたり、痛々しい悲しみを感じさせたり。勝村政信は、もの凄く存在感があって、格好良かった。
そして、マイペースで強さを秘め、挑発するおまけ。鈴木杏には軽やかな勢いがあった。

左右のスクリーンに、ト書きやら言葉遊びの解説やらが字幕で表示される。
これは、『天保十二年のシェイクスピア』と同じ。1階からだったら好きな時に見るという選択ができるけれど、2階からだとイヤでも目に入ってくるので、どうしても読んでしまうよなぁ、と半ばあきらめていたら、かなり端の席だったせいでライトに被ってあまりよく見えなかった。これは、わたしにとっては幸運だった。
それでも、時々読んでしまったけれど。

野田秀樹の美しい言葉が、印象に残らなかったことは不思議。壮大な物語の構造もまた、同様。
観終わった後に残ったのは、蜷川幸雄が意図した通り「闘争の物語」だった。

昨日からの風邪でぼーっとしていることもあり、あまり考えずに流れに身をまかせた結果かもしれない。

Bunkamuraシアターコクーンにて

作:野田秀樹
演出:蜷川幸雄
音楽:朝比奈尚行
美術:中越司
照明:原田保
衣裳:黒須はな子
出演:
空飛びサスケ(ヒト):松本潤
眠り姫(おまけ):鈴木杏
その後の信長:勝村政信
大写真家(神様):六平直政
ポジ(神様のかみさん):立石凉子
巨人1(ライト兄)/右田刑事1:杉本哲太
巨人2(ライト弟)/右田刑事2:高橋洋
「ワル!」:山口紗弥加
「キュー」:持田真樹
「レ?」:濱田マリ
ペニスの商人:たかお鷹
レフ小僧:六角慎司
ゲンゾー:さとうこうじ

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