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『柔道龍虎房』

Judoryuko ジョニー・トゥ監督の作品だから、無条件で観に行ったのだけれど、な〜んか不思議ーな映画だった。
<黒澤明監督に敬意を表して>とあるように黒澤明監督のデビュー作『姿三四郎』へのオマージュらしい。

柔道アクションだったり、青春ものだったり。
“青春ノワール”だそうだ。この映画のために作った言葉だと思うけど。

かつて柔道界で“柔道小金剛”とまで呼ばれたトップ選手のシト・ポウは、今では酒場の雇われマスター兼バンドのギタリスト。酒と賭博に溺れる自堕落な生活を送り、借金に追われる日々。ある日、トニーという男が酒場に現れて柔道の勝負を申し込んでくる。そこに、台湾から渡ってきて日本で歌手になることを夢にしているシウモンも酒場に現れ、奇妙な3人の生活が始まる。

男2人に女1人という、三角関係のラヴロマンスになることはなくて、ダメ人間たちが片寄せ合うという構図は、懐かしの青春ドラマみたい。
ギターを弾くシト・ポウ、サックスを吹くトニー、そして歌手のシウモンと、酒場でのライヴシーンあり。酒場を舞台の派手なアクションシーンは、往年の日活アクションを思い出させる。そして、アクションは柔道なので、投げる投げる。床に叩きつけられるので、とても痛そう。
柔道バカは、トニーだけかと思っていたら、他にも出てくる。

シト・ポウの師匠が経営する道場に降りかかる災難とか、トニーの熱意とか、いろいろあって、柔道への情熱を取り戻す。
シト・ポウとトニーとが道場で稽古する場面は、あまりにも楽しそうなのでなんだか恥ずかしいくらいだった。
しかし、柔道へ復帰したシト・ポウが次々と強い相手と闘って勝ち上がっていくようなスポコン映画になることはない。だって、敵役がいないんだもの。
今までうまくいっていなかった人々とは、柔道で組み合うことによって心を通わせる。
昔からのライヴァル・レイ・アコンとの、ススキの原っぱでの対決が多分クライマックスだけれど、熾烈な技の応酬もなく、カタルシスはない。レイ・アコンは、自ら負けを宣言して去っていく。

美しい夜の街に展開する青春ドラマだったけど、やっぱり不思議な映画だと思う。面白かったけど。

シト・ポウ役のルイス・クーと、トニー役のアーロン・クォックは、2人とも漫画みたいに眉が濃かった。アーロン・クォックって、勝野洋に似ている。
レイ・アコン役のレオン・カーファイは、最初わからなかったくらいに変わってしまった。老けたのね。

今でも耳に残っているのが、シト・ポウの師匠の息子チン(カルバン・チョイ)が中国語訛りの日本語で歌う『姿三四郎』の主題歌。この『姿三四郎』は、黒澤明監督版ではなくて、竹脇無我主演の日本テレビ放映版だそう。

♪ やれば出来るさ 出来なけりゃ
男はもう一度 やり直す
口惜しかったら 泣け……泣け……
泣いてもいいから 前を見ろ
三四郎……
それが勝負と言うものさ ♪

キネカ大森にて(公式サイト

監督:ジョニー・トー
脚本:ヤウ・ナイホイ、イップ・ティンシン、アウ・キンイー
撮影:チェン・シウキョン
音楽:ピーター・カム
挿入歌:柔道龍虎榜(O.T. 姿三四郎) 歌:(ポーラ・チョイ)
出演:
ルイス・クー:シト・ポウ
アーロン・クォック:トニー
チェリー・イン:シウモン
レオン・カーファイ:レイ・アコン
ロー・ホイパン:チェン・ヤッサム(師匠)
カルバン・チョイ:チン(師匠の息子)
チョン・シウファイ:マン(柔道の小覇王でヤクザ)
ジャック・カオ:シウモンの父

柔道龍虎榜/THROW DOWN  2004  香港

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コメント

TBとコメントありがとうございます〜。

> シト・ポウとトニーとが道場で稽古する場面は、あまりにも楽しそうなのでなんだか恥ずかしいくらいだった。
ふたりとも色黒だから、ピカッピカの白い歯が輝いて、ものすごーい笑顔でしたよね。
何かちょっと見てはいけないものを見てしまったような(笑)。

こちらからもTBさせていただきます。

重花丁子さん、こんばんは♪
柔道って、組合うし寝技もあるしで、ちょっと見てはいけないもの感が、ありましたよねー。
耳に残って仕方ない歌とともに、思い出されます。
不思議な後味の映画でした。

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♪ やれば出来るさ 出来なけりゃ  男はもう一度 やり直す  口惜しかったら 泣け……泣け…… 1970年のNTV放映版『姿三四郎』の主題歌で始まるジョニー・トゥ監督『柔道龍虎房』は、何度観てもやっぱヘン! 柔道映画かと思えば青春映画だった... [続きを読む]

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