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『ファザー、サン』

Father_sun 「父の愛は苦しめること息子の愛は苦しむこと」

息子の言葉が印象的だった。

ピントがあっていないような肌色の画面が蠢く冒頭から、ドキリとさせられる。
父と息子は、同性のカップルのように親密な関係にみえた。
母親を早くに亡くしていて、父と息子の結びつきはとても強い。
しかし、息子は父親から離れて自立していく。

軍隊を退役した父親と、軍人養成学校に通う息子。
戦争への言及から、父親はアフガン戦争を体験していることがわかる。そして、息子が直面するのは、チェチェン問題になることも。
現在を描いているはずなのに、少女の服装や髪型は懐かしいかんじ。
ロシア語を話してはいるけれど、路面電車が走る街は光に照らされていてロシアではないような。(エンドクレジットに、ポルトガルとあったのでリスボンの路面電車だったのだろうか。)
時代や場所が特定できないような独特の雰囲気が満ちて、ソクーロフ監督の普遍的な世界観に取り込まれる。
色彩を抑えて白黒のような印象の美しい画面は固定され、もう動かないのではないかと息が詰まるような緊迫感があった。

神話のようなおとぎ話のような、不思議な感触が残った。

夏に公開されるという『太陽』も見逃せない。公開は銀座シネパトスなのが微妙だけれど。

ユーロスペースにて(公式サイト

監督:アレクサンドル・ソクーロフ
撮影:アレクサンドル・ブーロフ
出演:アンドレイ・シチェティーニン、アレクセ・イ・ネイムィシェフ、アレクサンドル・ラズバシ、マリーナ・ザスーヒナ、フヨードル・ラヴロフ

OTETS I SYN/FATHER AND SON 2003 ロシア=ドイツ=フランス=イタリア=オランダ

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コメント

父の愛は苦しめることって、
なんとなく分かる気がしました。
自分だけでなく、
得てしてそういうものだなぁと妙に頷けてしまったり。

「太陽」見逃せないですねぇ。
シネパトスって僕にとって、
行ったことがあるようなないようなというほどのものなんですが、
あんまり良い劇場じゃないんですか?

現象さん、こんばんは。
これほど濃密な父と息子の映画って、なかなかない気がします。
父の愛は苦しめることって、分かるような分からないような。

シネパトスは、地下鉄の振動がモロに伝わってくる映画館でした。最近は行ってないのですが。
レイトショウの時には、酔っぱらいの声や歌声が聞こえてきた思い出があります。
改装してたような気がしますので、それに期待。

ほほー、何か場末の雰囲気ですねぇ。
嫌いじゃないんですが、
というかかなり好きなんですが、
こと映画に関しては邪魔されると機嫌悪くなっちゃいますね。
先日、映画を見た時に後ろのほうでいつまでも喋ってる人がいて、
どこのボンクラ野郎だと上映後に振り返って探していたら、
どうも障害者の方だったようで、
自分の器ってちっちぇえなぁと軽く申し訳なりました。

現象さん、こんばんは。
シネパトスが入っている地下は、確かに場末の雰囲気です。銀座とは思えない値段の居酒屋があったりして。
指定席の時はあきらめるしかないのですが、それ以外の時は、予告編の段階でかなり神経質になって席を移動できるようにしています。
席によって、天国と地獄ですからね。混んでいると逃げられないので最悪。
わたしも自分の器が小さいと思う時はよくあります。
お年寄りには優しくー、とか思っているんですけれど。

こんばんはー。
ニュー・ワールドの美しさも素晴らしいと感じたんですが、陶酔しきれなかった私は、ソクーロフ・ワールドのウットリ度の方が高かったです。こういうカメラワークにハマりやすい単純な私です。
珍しくパンフレットも買っちゃいました。
しかし、レヴューは結局書いていませーん。
去年、『エレニの旅』のレヴューを書けなかったのと同様に・・・。
映像にうたれる系は言葉にするのが難しいんだもーん。
というわけで、『太陽』も楽しみです。
ソクーロフ特集上映で観たものも皆気に入りました。
サンクトペテルブルクにふと行きたくなりましたが、ロシアのヴィザとるのって結構時間がかかるらしくこのたびは断念。いつか行きたし。

かえるさん、こんばんは♪
『ニュー・ワールド』と同日に鑑賞したのです、これ。
わたしは、『ニュー・ワールド』にハマってしまっていたので、この作品とのハシゴは失敗だったかも。
ソクーロフの美しさにも感動したのですが、集中が続かず。体調万全で臨みたかったです。
パンフレットを購入されたんですね。何が書いてあったのでしょうか?劇場でチラリとみておけば良かった。この映画って、公式サイトの情報もほとんどないんですよね。
確かに、映像にうたれる系を言葉にするのって、難しいですよねー。書いているうちに、核心から離れていくような気がすることが多いです。
『太陽』はずっと楽しみにしていました。内容を聞いて、日本での上映は不可能だと思っていたし。
わたしも、ロシアに行きたいです。そうか、ヴィザとるのに時間がかかるんですね。
モスクワに知人がいるうちに行きたいと思っているのでした。

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