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『ニュー・ワールド』

Newworldさざ波、川のせせらぎ、風のそよぎ、鳥のさえずり。自然が作り出す 音に心地よく包まれる。
川面に光が反射し、木々の葉が光に透け、草原が揺れる。自然が作り出す美しい情景に魅入られる。

17世紀の初頭に英国からの入植者としてやってきたジョン・スミスが、先住民の娘ポカホンタスと恋に落ちて、、というアメリカ建国史に残る実話を元にしている。

物語はメロドラマのようでシンプル。

新天地を求めて、遥か遠く海を渡って来たイギリス人たち。彼らが目にしたものは、美しい大地と、そこで暮らす異なる文化を持つ人々。

そして、男は少女と出会う。新しい世界に心を奪われたジョン・スミスが、美しい大地の精霊のようなポカホンタスに惹かれないわけがないのだ。そして、彼のためにイギリスの文化を受け入れ、変わっていく彼女を見ることに耐えられないのも、仕方ないこと。

彼女の運命は、そのまま大陸の運命と重なる。失われてしまった美しいものたちへの郷愁を感じずにはいられない。

ジョン・スミスは去り、抜け殻のようになってしまったポカホンタス。白人の服を着て、かつての瑞々しさを失ってしまった彼女。
そして、男は少女と出会う。ジョン・ロルフが、彼女に惹かれたのはなぜなのか。洗礼してレベッカとなったポカホンタスは、新しいものを受け入れる強い精神を持っている。その美しく輝く精神に感銘を受けたのは、多分わたしも同じだ。

ヴォイス・オーバを多用して、静かに進むこの物語は、一遍の美しい詩のようだった。

自然界の様々な音と、それと繊細に重なり、時に渾然一体となる音楽。
美しい光を感じる。さわやかな風のにおいや、澄み切った大気を感じられそうな、そんな素晴らしい映像。

郷愁だけではない。この世界は今だってこんなにも美しいものなんだ。
感動的に素晴らしいエンドクレジットに浸り心震わせながら、そう強く思った。

上映終了前最後の土曜日だというのに、10人足らずの観客は寂しいけれど、私たちが座った席の前に誰も見えない、貸し切りのような状態で鑑賞できたことで、この映画を目一杯堪能することができたと思う。映画館で観ることができて、本当に幸せだった。

サロンパスルーブル丸の内にて(公式サイト

監督/脚本:テレンス・マリック
撮影監督:エマニュエル・ルベツキ
プロダクション・デザイナー:ジャック・フィスク
衣装デザイン:ジャクリーン・ウェスト
編集:リチャード・チュウ、ハンク・コーウィン、サー・クライン
サウンドデザイン:スキップ・リーブセイ
音楽:ジェームズ・ホーナー
出演:コリン・ファレル、クオリアンカ・キルヒャー、クリストファー・プラマー、クリスチャン・ベイル、オーガスト・シェレンバーグ、ウェス・ステューディ、デヴィッド・シューリス、ラオール・トゥルヒロ

THE NEW WORLD  2005 アメリカ

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コメント

僕、一度だけマジ貸切状態になったことがあるんですよね。
映画も面白くてもう至福のときでした。
それにしても本作は心震わされるものでしたね。
この、感動を得るために映画を見るんだなぁと再認識です。
においや空気を感じ取れる映像はまさにテレンス・マリック・マジック。

現象さん、こんばんは♪
久々にエンドクレジットで、涙が止まらなくなる体験をしてしまいました。恥ずかしくてしばらく席を立てないくらいに。
映画にとってみれば不幸なことですけど、貸切状態ってうれしいですよね。
周りの人が気になると集中できなくて、映画を100%楽しむことができないことが悲しいです。映画に罪はないのに。

こんばんは。
世間がどんなに不評でも私はこの作品が好きですっ!詩的な作品でしたね~♪
私ね、自分の視界に人がいるとやはり集中できないので、最近は前方席が定番になりました。いいですよ~ホント貸切状態ですものね。
一番前でも全然抵抗なし。爆
それにレイトショー派の私は一人で貸切何度も経験してます。ちょっとこわいですが、慣れると土日とレディスデイは行けなくなりました。(^^ゞ

charlotteさん、こんばんは♪
熱いコメントありがとうございます。
わたしもこの作品が好きですっ!

自分の視界に人がいると集中できないの、わたしも同じです。更に、後ろに人がいると、椅子をガスッっとやられることがあるので、それも警戒して前方席が多いです。
一番前の席でも良いと覚悟を決めているし、劇場によっては一番前の席を好んでおります。
貸切状態は、それほど経験ありませんー。

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