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『カナリア』

Canary“オウム真理教事件”をモチーフにした映画。オウムの施設へ強制捜査に入った警官隊が先頭に掲げていた、鳥かごの中のカナリア。それは、最前線に立たされた子供たちと同じ。

宗教を扱っているけれど、宗教というよりも親と子の関わりについて深く考えさせられた。

主人公の光一は、母親がカルト教団に入信したことによって、妹と共に自動的に入信し、教団の施設で生活するようになってしまった少年。彼が望んだわけではもちろんないけれど、子供だから仕方がないところが腹立たしい。
テロ事件をきっかけに教団は崩壊し、祖父母に引き取りを拒否された光一は、引き取られた妹を取り戻すために走り出す。
そして、親に顧みられない孤独な少女由希と出会う。2人はそのまま一緒に旅を続け、全くかみ合わないながらも、だんだん心を通じさせていく。この2人のまなざしの強さは、印象的。

祖父の言動から、母親がカルト教団に走った理由がおぼろげにわかる。
子供を自分の持ち物のように思っている尊大な男。自分の過失は絶対に認めない親は、娘のことを切り捨てていた。
「子供は親を選べない」という由希の叫びが痛々しい。

しかし、この親がカルト教団に走る娘を作ったとしても、その家の壁や塀にひどい落書きをしたり、投石によって窓ガラスを割って良いという理由にはな らない。そんな理不尽な行為を実行する人々は、この親やテロ実行者と同じように自分たちだけに通じる理屈で動いていることに気づいていないのだ。

ずっと走っていた彼らが、手を繋いでゆっくりと歩みだす幻想的なラストシーン。かすかな希望は感じられたけれど、彼らの行く手は霧の中だ。

向井秀徳が歌うエンディング・テーマ「自問自答」もずっしりと重かった。

新文芸坐にて(公式サイト

監督:塩田明彦
出演:石田法嗣、谷村美月、西島秀俊、甲田益也子、水橋研二、りょう、つぐみ、戸田昌宏、品川徹、井上雪子

2004  日本

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コメント

いわいさん、こんにちわ。
コレ、かなり好きでした。「子供は親を選べへん」というセリフ、とても心に響いて忘れなれないです。
>かすかな希望は感じられたけれど、彼らの行く手は霧の中だ。
確かに、あのラスト・シーンはどう捉えようかと微妙な気持ちになりました。
私の周囲では見た人が余りにも少ないので。見た人に出会えただけでも嬉しいですよ。

隣の評論家さん、こんにちは。
髪の毛の色、変わってましたねー。
懸命に生きることを選んだ子供が、強く転生した姿だと思いました。(解脱?)
少年と少女が、妹を真ん中に手をつなぎ直すのも、家族の再生を意味しているんでしょうね。
子供たちの演技が素晴らしかったですね。

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「カナリア」製作:2004年、日本  132分 監督:塩田明彦 出演:石田法嗣、 [続きを読む]

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