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『変態村』

Hentai_mura 巡業歌手マルクが迷いこんだのは、地図にも載らないような寂れた小さな村。
車の故障によってそこに足止めされてしまった彼が体験する恐怖の物語。

老人ホームのクリスマス・ショウでマルクが歌うオープニングシーンから、不穏な雰囲気に満ちていた。老女や老人ホームの職員は、マルクに異常な愛を寄せる女たち。マルクの南仏へと旅立ちには、禍々しい予感があった。

そして迷いこんでしまったのは、奇妙な村。
次第に明らかになってくる、狂気を帯びた村人たちの姿。

常識が通用しない異世界に主人公が囚われてしまいひどい目に遭わされるという映画なので、どこかでも例えられていたけれど、確かに『悪魔のいけに え』や『ウィッカーマン』が思い出される。でも、明らかに違うのは、村人たちの異常な行動が、“狂気の愛”に基づいているらしいことだ。愛に理由はいらな い。だからこそ恐ろしい。

村人たちが集うバーで、メチャクチャに弾いていると思えたピアノが奏でだしたメロディが素晴らしかった。それまで全く音楽がなかった世界に響く旋律にあわせて、村人たちの踊るダンス。このシーンのあまりの美しさには、身震いするほど。

逃げるマルクに迫る追っ手。正常な人間がマルクだけという世界にあって、マルクの最後の台詞「愛してる」が、カタルシスを感じさせてくれた。
原題「Calvaire」は、最後に出てきた磔の像のことなのだろうか。
森の中をひたすら逃げる彼は、自分をキリストになぞらえたのかもしれない。

ピンホール写真みたいに滲んだようなピントの映像が、とても美しく幻想的だった。

『変態村』というタイトルによって、かなり限定した観客を想定していると思われる。予告編で、過激な場面のほとんどを見せているので、それ以上のものを期待している人は肩すかしをくらうかも。

何となく、ドゥシャン・マカヴェイエフを思い出したのは、この映画よりも強烈なものはどういうのか、と想像してみたからなのかも。

“マカヴェイエフ・フィルム・コレクション”のパンフレットを引っ張りだしてみた。1991年だったのね。かなり感覚がすれてしまった今観ても強烈な印象を受けるのか、興味がある。無理だろうけど、また上映してほしい。

ライズXにて(公式サイト

監督:ファブリス・ドゥ・ヴェルツ
撮影:ベノワ・デビエ
音楽:ヴァンサン・カエイ
出演:ローラン・リュカ、ジャッキー・ベロワイエ、フィリップ・ナオン、ジャン=リュック・クシャール、ブリジット・ラーエ、ジジ・クールシニー、フィリップ・グランドンリー、ジョー・プレスティア

Calvaire  2004  フランス=ベルギー=ルクセンブルグ

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コメント

ドモドモー♪
「変態村」を観ている人が居ると何だか嬉しくなってしまうワタクシであります。フフフ

そうそう、、静寂に包まれていた村で唐突にピアノを連打しましたね!
村人たちのミョーな踊りといい、あのシーンはかなーり印象的です。
一種の催眠状態、集団ヒステリーみたいな感じがしました。
>マルクの最後の台詞「愛してる」
マルク、きちんと座って言葉を投げ掛けてあげて「何て良い奴なんだ!」と思いましたですよ・・・・・

Puffさん、こんにちはー♪
あの踊りのシーンは、かなり気に入りました。
実は、村人たちはみんなアーティストなのでは?と思えたりしましたし。
最後で、マルクがあのおじさんのことをどうするのかな、沈めちゃうのか、撃ってしまうのか、「愛してなんかない」って言うのか、などと思っていたら、「愛している」と言ったので、ちょっと驚きました。
マルクも壊れてしまい、村人たちの世界に同化してしまったのかな、と思いましたです。

いわいさん、こんにちわ。
この作品、何か想像していたものと違ってました。「変態」という言葉からアレやコレやイメージしていたんですけど(笑)。あの不気味な世界観。私は、かなり気分が悪くなり、鑑賞後スペイン坂でヘナへナへナ~と座り込んでしまったくらい。でも、だから嫌いというのではなくて、寧ろ評価は高めです。
いわいさんのツボには、はまったようですね。

隣の評論家さん、こんにちは。
わたしも、『変態村』というタイトルは違うだろー、と思いました。
気分が悪くなってしまわれたのですね。
わたしは、期待しすぎていたせいか、それほどでもありませんでした。
ピアノで踊る場面が素敵だったのと、ラストにカタルシスを感じられたことで、満足できたかなー、というかんじです。

作品としてはかなり好み系のタッチでした。
ライズXじゃなくて、もっと設備のいいところで観たかったですー。
あのピアノは最高でしたよね。
今も時々頭の中を鳴り響いていますー

きゃー、ドゥシャン・マカヴェイエフって知りませんでした。
"前衛的な作風が特徴で、イデオロギー的であったり、性的タブーに挑戦するかのような作品が多いのと同時に、映像の美しさの評価も高い。"
それは観てみたいー

かえるさん、こんにちはー♪
わたしも、好み系でしたー。こういう映画って、昔だったら俳優座トーキーナイトあたりでやりそうだと思いました。あそこでやりそうな作品が、ライズXにかかっている気がします。ライズXがなかったら、上映されたのか疑問です。
確かに、もっと設備がよいほうが映像も音も楽しめたことでしょう。
あのピアノ!あの場面のおかげで、映画に対する評価が3割くらいあがりました。

ふふー。マカヴェイエフに反応していただけましたか。
映像が美しかったかなぁ?それはどうだろう。
あくまでも記憶ですが。とにかく衝撃的!という映画でした。ぐちゃぐちゃで混沌としていて、否応なく巻き込まれてしまうような。
まだ、ご存命中らしいのですけど、どうしているのだろうか。

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