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『四月大歌舞伎』夜の部

Utaemon 当月は「六世中村歌右衛門五年祭」ということで、故人に縁の演目がずらり。
ちょっと地味めかも。

一、「井伊大老(いいたいろう)」北条秀司 作・演出
幕末、大老井伊直弼が、桜田門外の変で暗殺される前夜の物語。
彦根の不遇時代を一緒に過ごした側室お静の方と直弼の夫婦の情愛。
初役だという魁春のお静の方が初々しい。正妻への嫉妬もいじらしく、直弼への細やかな愛情が心にしみる。
直弼は吉右衛門だから、セリフが朗々としてわかりやすい。開国を断行したことによって、尊王攘夷派に命を狙われている直弼が、誰もわかってくれない心情を吐露する場面は迫力があった。
井伊直弼:吉右衛門/お静の方:魁春/雪の井:歌江/仙英禅師:富十郎

二、六世中村歌右衛門五年祭追善「口上」
19人(だったか)がずらりと並んで、壮観。でも、人が多いせいか、長く感じてしまった。口上を長く感じたのは、初めて。
玉太郎改め松江の息子が玉太郎を襲名ということで、後から登場。小さくて可愛らしい。お行儀も良く、しっかりしたものだった。歌舞伎役者の子供はこうやって大舞台に慣れていくのだよな、と感慨。

三、「時雨西行(しぐれさいぎょう)」
能の「江口」をもとにした長唄舞踊。
諸国を旅する西行が、江口の里の遊女に普賢菩薩の姿を見るという内容らしい。
1人の役者が、遊女と菩薩を踊り分けるところが見所だそうだけれど、初役だという坂田藤十郎が出てきたあたりで、幽玄の世界へ。現世へ戻ってきた時には、江口の君が去っていくところだった。
江口の君:藤十郎/西行法師:梅玉

四、「伊勢音頭恋寝刃(いせおんどこいのねたば)」 油屋/奥庭
本日のメインは、この演目。
十五代目仁左衛門襲名の時に何回も観ているし、話し自体もそれほど好きなわけではないので、期待はしていなかった。
あぁでもでもやっぱり 仁左衛門の貢は、目の覚めるほどの格好良さだった。

御家の重宝・名刀青江下坂。満座の中での愛想づかし。意地悪な仲居の万野の貢に対する憎々しい態度。ちょっとした争いから発展する刃傷沙汰。血塗れの立ち回り。などなど、とても歌舞伎的な見所満載。

今回は、福助が仲居の万野に初挑戦というのも話題のひとつ。福助は、かなり憎々しい万野で、意地悪なセリフが観客によくわかるので、笑える芝居にはなっている。でも、ちょっと顔が妖怪みたいだ。(言い過ぎですか、すみませぬ。)
今まで見た万野のなかでも、独自の路線だと思ったけど、良いかどうかはわからない。万野って、今ひとつよくわからない役だ。
梅玉が料理人喜助というのは、どうなのだろうか。貢役者が、2人並ぶのは贅沢ではあるけれど。
時蔵のお紺、勘太郎のお岸は、どちらも綺麗だし、ハラが伝わってきて良かった。

仁左衛門は、さわやかな青年が意地悪女にはめられて窮地に陥っていく様がくっきりとわかるセリフ運びといい、立ち上がって決まった時の姿の良さといい、目が釘付け。
狂気に取り憑かれていく様子に引き込まれ、立ち回りの美しさに目を奪われた。

福岡貢:仁左衛門/お紺:時蔵/仲居万野:福助/お岸:勘太郎/今田万次郎:玉太郎改め松江/お鹿:東蔵/料理人喜助:梅玉

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