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『ヒストリー・オブ・バイオレンス』

“暴力の歴史”というタイトルの物語は、夫婦や家族の愛、特に妻の愛が試される物語でもあった。

Historyofviolence 田舎町の小さなダイナーを経営するトムは、弁護士の妻と2人の子供たちと幸せな日々を送っていた。しかし、ダイナーを襲った2人の強盗を倒したことにより、一夜でヒーローになった彼の店に、見知らぬ男たちが現れたことにより、妻の不安が広がっていく。

建物から出てくる2人の男を映し出しているだけのオープニングシーンから不穏な緊張感が溢れている。男たちの普通じゃない雰囲気とか、静かにいらだっている様子とか、空気がジリジリと暑いかんじとか。

この2人が強盗で非道な人間であることが示されているので、ダイナーを襲われたトムが2人の男を殺してしまい、ヒーローとして歓迎されることにそれほど不思議な気はしない。正義の暴力というわけだ。

そして、トムの過去を知るという訪問者が現れ、トムに暴力にまみれた過去があるらしいことがほのめかされて、妻に不安が生まれる。
彼女は何が不安だったのだろう。
夫が過去を偽っていたということなのか、偽っていた過去が暴力に満ちているらしいことなのか、夫の過去に関連している男たちがあまりにも危険な人物だったことなのか。

少なくとも映画で描かれるトムの暴力は、彼や家族を守るためにふるわれている。
息子も自分や父親を守るために、暴力をふるっている。(そのきっかけは、父親がヒーローになったことらしいのもまた、皮肉ではある。)
守るための暴力なら、許されるのだろうか。

ラストシーンで、観客は問いかけられているのだろう。

トム役のヴィゴ・モーテンセンは、アクションに殺人マシーンとしての素早さがあって恐ろしかった。決別したはずの過去に淡々と対峙しつつ、家族を愛しているトム。
でも、恐ろしいといえば、過去からの訪問者フォガティ役のエド・ハリス。ダイナーに座って、サングラスを外した時には震え上がるくらい迫力があった。

長年に渡ってクローネンバーグ監督と組んでいるハワード・ショアの音楽は、全編に緊張感を与えている。
エンディングの音楽は、なんとなく明るくて希望を感じることができたことが救い。

原作は、グラフィックノベルというやつらしい。近所の本屋にあったので、ちらりと立ち読みしてみた。日本の漫画と違ってかなり読みにくい。
ストーリィは、かなり違っているように感じた。原作の方がかなり陰惨な印象。
(本当にパラパラと読んだだけなので、違っているかも。。)

東劇にて(公式サイト

監督:デイヴィッド・クローネンバーグ
脚色:ジョシュ・オルソン
音楽:ハワード・ショア
撮影:ピーター・サシツキー
原作(グラフィックノベル):ジョン・ワグナー/ヴィンス・ロック

出演:ヴィゴ・モーテンセン、マリア・ベロ、エド・ハリス、ウィリアム・ハート、アシュトン・ホームズ、ハイディ・ヘイズ、スティーブン・マクハティ、グレッグ・ブリック

A HISTORY OF VIOLENCE  2005  アメリカ=カナダ

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コメント

ドモドモー♪
先日は、TB、コメントをありがとうございました。

暴力の是非を問われているようでしたねー
暴力によって引き起こされる様々なことを
目の当たりにした気がします。
それにしても、ヴィゴの豹変ぶり!!
今まで普通のお父さんが、いきなり達人に早代わりですからね。
とてもカッコ良くって素敵だけれど、、でも、
家族から何となく遠ざけられてしまって哀れでもありましたね・・・・・

Puffさん、こんにちは♪
ドラマティックでない暴力シーンが恐ろしかったです。
暴力に塗れた過去からどうしても抜けることができない悲しさとか。
ヴィゴの身のこなしは、本当に達人でした。
いろいろと考えされられたのに、後味がそれほど悪くないことが不思議でした。

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