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『蓮如とその母』

1981年制作の川本喜八郎初の長編アニメ。滋賀県の地方自治体の制作のため一般公開もソフト化もされななかった幻の作品。

本日は、『Respect川本喜八郎』の最終日。この作品は、今日を含めて2回しか上映しないとあって混雑していた。広い方のユーロスペースはほぼ満員。
うれしいことに、川本喜八郎監督が来場して舞台挨拶が行われた。
原作者、脚本、音楽、豪華な声優たちを紹介。そして「この映画はメロドラマなので、<死者の書>のように難しくありません。笑える場面もあるので、遠慮なく笑ってください。」というようなことを話されていた。

室町時代、宗教改革者・蓮如の半生を描いている。

比叡山の僧兵に襲撃されるが、決して戦おうとしない、蓮如の姿。
信者たちは蓮如の教えに帰依してはいるけれど、蓮如や村の生活を守るためには、戦わないわけにはいかない。力に力で対抗することでは、戦いは終わらないと危惧する蓮如。
現在にも通じる普遍的テーマには、答えは出てこない。
彼は、人間が平等であること、教えを守ることにより誰でも救われるということを説くのみである。

蓮如の母親は身分が低く、自分の身分を思って幼い蓮如を寺に残して、身を引くという母の愛についても描いている。人間の差別意識を描いているとのことだけれど、これについては注意して観ていなければよくわからないような、微妙な表現だ。川本監督からの「原作者の平井清隆氏は、同和問題関係の方」という紹介がなければ、意識しなかったかもしれない。

人間ではなく人形が演じることにより、生々しさが薄まっているから、宗教的な物語ではあるけれど、それほど説教臭さを感じずに素直に観ることができた。

蓮如が近江に向かって山越えする場面など、ただ歩いているだけなのに、心に響いたのは、音楽によるところが大きい。武満徹の音楽は、いつの間にか心の奥にはいりこんできて、琴線に触れてくる素晴らしいものだった。

我家的川本喜八郎祭りはこれにて終了。思いがけず監督の挨拶を聞くことができて、うれしい最終日だった。

ユーロスペースにて(公式サイト

監督:川本喜八郎
原作:平井清隆
脚本:新藤兼人
音楽:武満徹
声の出演:小池朝雄、大門正明、渡辺美佐子、池上季実子、三國連太郎、小沢昭一、泉ピン子、高松英朗、黒柳徹子、岸田今日子

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» Respect 川本喜八郎 #特別プログラム [のら猫の日記]
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