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『ルー・サロメ 善悪の彼岸 ノーカット版』

Lousalome 1977年制作『善悪の彼岸』のノーカット版。
天才哲学者ニーチェや詩人リルケの心を虜にした才媛ルー・サロメと、彼女に惹かれて破滅していく男たちを描いている。

ルー・サロメ役のドミニク・サンダは、“ファム・ファタル”というのも納得の美しさ。
男たちの求愛を「2人で暮らすなんて、甘い牢獄だわ」と断る毅然とした態度
。彼女の理想は、2人の男性と“三位一体”の共同生活を送り、彼らとともに議論しながら暮らすことだった。
ルーは、ローマで出会った若き哲学者パウル・レーに求婚され、彼の友人であるフリッツ(ニーチェ)との共同生活を始めることにする。
当時でなくても十分にスキャンダラスな生活は、男たちの嫉妬の果てに崩壊する。
男たちが破滅へと向かっていくのに、ルーは毅然と自分を貫いていることが素敵だ。
大学教授のカール・アンドレアスが、自分の体にナイフを刺して死ぬと脅し、ルーに結婚を承諾させてしまう。結婚を受け入れたことで泣きじゃくるルーの姿は、とても意外だったけれど、カールと結婚しても決してベッドを共にしなかったというのは、お見事というかなんというか。

前回の公開では、40箇所以上に及んだという修正だが、今回のノーカット版では修正箇所は4箇所のみとなっているそうだ。確かに、際どい場面も修正されていなかった。
しかし、世紀末の退廃的な雰囲気がそれほど漂っていないように思えるのは、ドミニク・サンダの眼差しの強さ、冷たさのせいなのか。それほどエロティックさは感じなかったし、ちょっと物足りなかったかも。
古代ローマの遺跡、聖セバスチャンの道での男色家たちの交歓場面や、交霊会の場面など、思わせぶりな場面もたくさんあったけど。

フリッツは梅毒により発狂し、パウルは酒場で知り合った労働者たちに暴行されて殺され、カールは家政婦のマリーに子供を産ませる。そんな男たちの哀れな顛末のほうがドラマティックだった。

撮影は『地獄に堕ちた勇者ども』『ルートヴィヒ』のアルマンド・ナンヌッツイ。衣裳は『山猫』『ベニスに死す』『ルートヴィヒ』などヴィスコンティ組のピエロ・トージ。
マーラーの「さすらう若人の歌」ピアノ編曲版など、音楽も心に残った。

K's cinemaにて(公式サイト

監督:リリアーナ・カヴァーニ
出演:ドミニク・サンダ、エルランド・ヨセフソン、ロバート・パウエル

AL DI LA DEL BENE E DEL MALE  1977  イタリア=フランス=西ドイツ

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