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『桜飛沫』

阿佐ヶ谷スパイダースの新作時代劇。
第一幕「蟒蛇如(うわばみのごとく)」と第二幕「桜飛沫(さくらしぶき)」との二幕構成。
かつては仲間だったふたりの男が、それぞれを主人公とした一幕ずつで別々に描かれ、最後にまたひとつになるという物語。一幕目は、ある貧しい田舎の村、二幕目は寂れた宿場町、とガラリと変わる舞台美術。

一幕目。男が蛇を食べる習慣を持つ貧しい村。精がつくせいか、子沢山の夫婦が多い。村を仕切る悪徳兄弟の打ち出した“三人っ子政策”に対抗するため、避妊の知識を広めている過去に訳ありの医者がいた。
主人公は、橋本じゅん演じる医者の徳市。軽いキャラとして放つギャグから、村人から理解してもらえないことへの焦りや哀しみまで、自在に行き来する表現が素敵。
暗くて閉塞した田舎の村に吹きだまるどす黒い悪意がドロドロ〜っていう物語のハズなのに、案外あっさりとした印象。殺し殺されるということがそれほど不自然ではない時代劇という設定のせいなのか。

二幕目。強欲非道な男とその仲間に蹂躙され、すっかり寂れた宿場町。そこに流れ着いたお尋ね者。美人の妹と頭の弱い姉は、彼に興味を抱いて、自分の旅籠屋に招く。彼女たちは、姉の夫からのひどい暴力に耐えていた。
ちょっと西部劇風味な舞台装置に、桜の大木が美しい。
この幕の主人公は、山本亨演じるすっかり毒気を抜かれたお尋ね者の佐久間。
頭の弱い女に癒される流れ者の男という設定は、ちょっと典型的かと。姉役の峯村リエと妹役の真木よう子は、それぞれ存在感があって良かったけれど。
寂れた宿場町のどん詰まりの状況が、流れ者が侵入してきたことによって変化するけど、変化したところで腐っていることには変わりがない、という展開なのに、それほどイヤ〜な感じにならないのは、これも時代劇の設定だからなのか。

新感線で馴染みのある人も多かったので、すごい殺陣を期待していたら、それは無し。阿佐ヶ谷スパイダースだから、仕方ないのか。少しもったいないような。刀の音や殴る音の効果音が今ひとつ。

時代劇の設定にしたことによって、いつもよりもドロドロ感が薄まっている気がするが、それが良いのかどうかは、微妙。
豪華な出演陣をほとんど一幕ずつしか使わないというのももったいない。
役者たちの演技は面白いと思ったけれど、舞台全体として考えると、何となく個人プレイでアンサンブルとしてはチグハグだったように思ってしまう。
それが、一番不満なところ。
最後の場面で、ふたりの主人公が相対する場面は格好良かったし、幕切れもあっさりしていて結構気に入った。(歌舞伎みたいだと思った)

世田谷パブリックシアターにて(公演情報

作・演出:長塚圭史
出演:山本亨、橋本じゅん、水野美紀、峯村リエ、山内圭哉、猫背椿、市川しんペー、真木よう子、吉本菜穂子、富岡晃一郎、川原正嗣、前田悟、横山一敏、大林勝、中山佑一郎、伊達暁、長塚圭史

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