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『ヤンヤン 夏の想い出』

まさに至福の映画体験。こういう映画に出会うために、映画館へ通っているんだと思わせてくれる。

YiYiヤンヤンは、祖母、父NJ、母ミンミン、そして高校生の姉ティンティンと台北のマンションに住んでいる8歳の小学生。
母の弟アディの結婚式から、一家に起こる様々な出来事。
脳卒中で倒れる祖母。新興宗教に救いを求める母。隣の部屋に住む女の子の彼と交際してみる姉。初恋の女性と再会した父。
それぞれの生活が淡々と描かれる物語は、それほどドラマティックなわけではない。それなのに、どうして心揺さぶられるのだろう。

BMWに乗る父親、暮らすマンションは家具調度も洒落ていて、彼らの生活が恵まれていることを窺わせる。生活臭のない日々の暮らしに、感情表現を極力抑えた描写。なのに、彼らの気持ちがとてもよくわかるような気がしてしまう。

日本タイトルに名前がはいっているヤンヤンは、映画のアクセント的な存在。
彼はいつも何かを視ている。そして、意味深なセリフを話す。
彼が人の背中の写真を撮っていたのは象徴的だ。
「だって背中は自分では見えないでしょ」

NJと仕事で関わる日本人ゲームプログラマ大田を演じたイッセー尾形も素晴らしかった。ちょっといかがわしくて、だけど誠実で暖かいような、複雑な人物。
また、この映画に出てくる日本の風景もとても美しくて、うれしくなってしまう。

動きを抑えたゆったりとした映像。窓の外から部屋を覗いているような夜のシーンは特に印象に残った。

三時間近い映画なのに、終わってしまうのが寂しい、いつまでも観ていたいと思える幸せを感じた。

原題は “YiYi”(多分“一一”)と“A ONE & A TWO..”。
人生はシンプルだということを表しているのか。

“人生は小説=物語(ロマン)である 〜アルノー・デプレシャンによる特別セレクション〜”という企画での鑑賞。
この映画をスクリーンで上映してくれた東京日仏学院に感謝。
ここで映画を観るのははじめてだったけど、上映環境がとても良く、素晴らしい映像を堪能できたのはここのスクリーンのおかげかも。

東京日仏学院にて。

監督/脚本:エドワード・ヤン(楊徳昌)
出演:
ウー・ニエンジェン、エレン・ジン、ジョナサン・チャン、ケリー・リー、イッセー尾形

A ONE and A TWO / YiYi  2000  台湾=日本


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コメント

僕は長い映画を苦としていますが、
これはそれを全く感じさせませんでした。
エドワード・ヤンは最近、動きを聞きませんね。
何やってるのでしょうか。
新作が見たいです。
日仏学院センスが光りますね。
デプレシャンも「ニンゲン合格」をセレクトしたりして、渋すぎる…w
あれも面白かったのですが、
黒沢清作品の中でもかなり地味な部類に入ると思ってました。

現象さん、こんにちは♪
わたしも、長い映画は苦手ですよ〜。
最近は、2時間は基本みたいで、すぐに2時間30分超えで、体力を消耗します。
90分の長さだと、もうそれだけで評価が高くなってしまうかも。
エドワード・ヤンは、新作を待ち望んでおります。
新作がダメなら旧作を特集して欲しいけど、何かきっかけがないとムリですよね。
『ニンゲン合格』、東京国際映画祭で観て、黒沢監督がティーチインで語る姿をみました。
まさに、“語る”という風情で、面白かったです。

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小学生のヤンヤン、その姉ティンティン、父NJ、母ミンミン、祖母という一つの家族を中心に、くさぐさの世代の葛藤を切り取る。監督のエドワード・ヤンは「恐怖分子」のオープニングにも見られるように群像の描き方に長けている。 ミンミンの弟アディの結婚式で、様々な... [続きを読む]

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