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『十二月大歌舞伎』夜の部

dec_kabuki暖冬の予報もなんとやら、とっても寒い師走の銀座。
歌舞伎座は、平日だっていうのに三階袖の後ろまで満杯。
歌舞伎じたいの人気があるということなのか、出演役者の人気なのか。

「恋女房染分手綱(こいにょうぼうそめわけたづな)<重の井>」
親子の別離を描く「子別れ」の代表的作品「重の井子別れ」は、もともと人形浄瑠璃として初演されたものだそう。

丹波国大名の姫君調姫は12歳で、関東へ政略結婚させられることになるが、関東へ行くのは「いやじゃ」とだだをこねて、乳人・重の井たちが困っている。そこへ、腰元・若菜が連れてきた馬子の三吉が持っていた道中双六で姫が機嫌を直し、一同は一安心。ここは、関東への道中を双六でみせる楽しさを表現する場だと思うんだけど、腰元たちがキャアキャアしているだけで、お姫様がどうして機嫌を直したのかよくわからなかった。そんなものだったかしらん。
重の井が三吉に褒美を与えようとした時、実は三吉は重の井が昔手放した我が子であることがわかる。
大事な姫君のためにも母親と名乗ってはいけない重の井の苦悩。そして、けなげに悲しみをこらえる三吉。

重の井を福助。子役の大役である三吉は、福助の長男児太郎。
二人ともに熱演だと思う。見せ場だけに、二人だけのシーンが長い。長セリフの応酬は、今までの背景とか立場とか言っていることはよーくわかるけれども、ちょっと説明的に感じてしまう。
馬子である三吉の生意気なかんじはこましゃくれててよいのだけど、歌舞伎の子役独特のセリフ回しのせいなのか、心を動かされない。
重の井は、ず−っと嘆き悲しんでいる。泣きが過剰な気がして、少し引いてしまった。
多分、わたしはこういう話しが苦手なんだと思う。かなり傍観者になってしまって、別れの悲しみに共感することができなかった。

乳人重の井  :福助
三吉     :児太郎
腰元若菜   :七之助
本田弥三左衛門:弥十郎

「杵勝三伝の内 船辨慶(ふなべんけい)」
みたことがあるのは、新歌舞伎十八番の歌舞伎舞踊「船弁慶」。今回のは、能の詞章をほぼそのまま採り入れたもの。初めてみる。

兄頼朝との不和のため、西国に落ち延びようとする義経主従がたどり着いた大物浦。義経の愛妾静御前は同行を許されず、別れの舞を舞って、都へ戻って行く。
義経主従は船出するが、海上に義経に滅ぼされた平知盛の霊があらわれる。一行を悩ませる知盛の霊だが、弁慶に調伏されて退散するのだった。

前半の静御前と後半の平知盛の霊という対照的な二役を一人の役者が演じるのが見どころ。今回は玉三郎が演じている。
舞台装置も破風の能舞台風。能の「船弁慶」を知らないのだが、かなり能に近いのではと思わせられる。荘重で格調高いかんじ。長唄が美しかった。
知盛の霊は、メイクも相まって亡霊の怨念を感じる気持ち悪さ。いつものスペクタクルではないので、微妙な後味が残る。
弁慶役は、段治郎の休演により弥十郎に変更。弥十郎の弁慶が舞台を引き締めていてとてもよかった。弁慶は大事な役。
段治郎は大抜擢だったのね。(義経の薪車と弁慶の段治郎が並んだら眼福だったとは思いました。)
義経本人が、「しかし義経少しも慌てず」と言ったのにびっくりしたんだけど、本人が言うものなの?

静御前/平知盛の霊:玉三郎
武蔵坊弁慶    :弥十郎
源義経      :薪車
船頭       :勘三郎

「秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)」
忠臣蔵外伝の一つ。意外なことに、勘三郎初役の松浦鎮信。

赤穂贔屓の大名松浦候は、赤穂浪士がなかなか敵討ちをしないことを怒っているが、そのあたりを説明するやり取りがテンポ良くて楽しい。
松浦候の天真爛漫な茶目っ気を 案外抑えめに演じていて好感が持てる殿様ぶり。「うふふふ」という笑い方はちょっとイヤだったけど。

で、その怒りから腰元奉公をしている赤穂浪士の妹・お縫に暇を与えるが、その場に同席していた俳諧師・宝井基角から、お縫の兄・大高源吾とのやり取りを聞き、敵討ち実行を察知する、そのくだりもわかりやすい。
隣の吉良邸より陣太鼓の音が聞こえてくる見せ場。ここでの大向こうは掛け過ぎかと。「待ってました」「たっぷり」「十八代目」などなど。
せっかくの見せ場なのに、ちょっと脱力。

討ち入りが果たされたと知らせる大高源吾と、馬上の松浦候。
話しの行く末を思うとちょっとやるせない気もするが、とにかく、討ち入りを果たしておめでたい、という一幕。

本日、全演目出演の弥十郎が、基角。お疲れさまでした。
お縫の勘太郎が、紅一点の美しさ。

松浦鎮信:勘三郎
宝井基角:弥十郎
お縫  :勘太郎
大高源吾:橋之助

公演情報

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コメント

こんにちはー。今さらのコメントで失礼します。

>義経本人が、「しかし義経少しも慌てず」と言ったのにびっくりしたんだけど、本人が言うものなの?

お能では義経は子方(子役)が演じ、「そのとき義経少しも騒がず」と自分で謡いますね。だから今回のはあまり違和感なかったです。
謡曲だと本人が自分のことを三人称で謡うことはよくある…のかな? 私もあまり詳しくないのですが。

ねすさん、こんにちは。
なるほど、そうなんですか。
義経本人が力をこめてセリフを言った後、長唄でもうたわれるので余計に違和感を感じてしまいました。(セリフうろ覚えでした。(汗))
これに限らず、松羽目ものは元のお能もみてみたいです。

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