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『メゾン・ド・ヒミコ』をみた

まだ予告編を見る前、チラシを手に取った時点で見ることを決めていた映画。

抑えた色調の写真(平間至)。空の色をバックに白抜きで「私を迎えに来たのは、若くて美しい男。彼は、父の恋人だった。」というキャッチなどに、そそられた。

家族を捨ててゲイとして生きることを選んだ父親、卑弥呼
癌で亡くなった母親の療養費で背負った借金を返済し続けている娘、沙織
そこに、父親の恋人である若い恋人春彦が訪ねてきて、父親が癌で死期が近いことを告げ、父親が営むゲイのための老人ホームを手伝わないかと誘う。

設定は少女漫画のようである。が、犬童一心監督と渡辺あや脚本のコンビは、『ジョゼと虎と魚たち』でそうだったように、どこかファンタジックで、実はリアルな映画に仕上げている。
蔦井孝洋の淡くて美しい映像。細野晴臣の繊細な音楽。

演技というよりも佇まいそのものが圧倒的な田中泯の卑弥呼。
「ブス」って何回も言われちゃう、そんな沙織を柴崎コウ。あの大きな目を見開いて、顔をしかめてるからコワいこと。
若くて美しくて色っぽい春彦のオダギリジョー。ただ、春彦からは老人ホームにいるゲイたちへの家族を見守るような愛は感じられたが、卑弥呼への激しい恋情が伝わってこなかったのだった。とっても色気はあったと思うんだけど。そこが残念。
女の従業員とすぐ関係を持ってしまう細川専務の西島秀俊、即物的で刹那的な存在感がとても良かった。

結局、何も解決していないし厳しい現実は消えていない。それでも、お互いが何かを乗り越え、そして赦すことによって前に進んでいく。後味の良いラストシーンだった。

新宿武蔵野館にて。公式サイトでは、エンディングの歌を聞くことができる。

見ることを決めていたくせに、もう少しで上映終了になりそうになってから見ている間抜けなわたし。
都内ではこの映画館でしか上映されていない『ベルベット・レイン』も見る予定。

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コメント

こんばんはー!
公開ギリギリ間に合ってヨカッタですね(笑)。

>結局、何も解決していないし厳しい現実は消えていない。
>それでも、お互いが何かを乗り越え、そして赦すことによって前に進んでいく。
>後味の良いラストシーンだった。

これ、まったく同感です。
そこが「甘い」と言われてしまえば、それまでだけど、
私は全体のファンタジックな雰囲気も含めて
とても気に入っています。

コメントありがとうございます。

「甘い」と言ってしまうのもわかる気がしますが、
でも、「全然甘くないよ」と思っています。

心に残る箇所の多い映画でした。

コメント&トラックバックありがとうございます。
いわい様は「答え」丸投げ賛成派ですね(^^)僕はそれはそれでいいと思いながら、どうも現実逃避ととってしまいました。
答えはそれぞれでありながら、それに頼りすぎかな、などと思いながらも、そうやって論議を呼ぶような作りにあえてしているんでしょうねー。

まつさん 様、コメントとトラックバックありがとうございました。

う〜ん。丸投げ賛成派かと言われると、違うと言いたいような。
答えのないツラい話しなのに、後味の良いラストに仕上げられていて、
うまくしてやられたかんじです。
後からこんな風に考えさせられているのも、然りです。

いわいさんのレヴューに同感でっす。
丸投げっていうのは違いますよねぇ。(^^)
具体的な問題が明確に解決したわけじゃないだけであって・・・。(問題なんてないのかもしれないし)
映画としてはちゃんとしたステキな結びとなっていましたよねぇ。

かえるさん、コメント&TBありがとうございました。

そうなんです。答えはないのでは、と考えることもあります。
いろいろな感想があるのも、良い映画ならではですよね。


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