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『母・肝っ玉とその子供たちー三十年戦争年代記』をみた

20世紀で最も偉大な劇作家のひとり、ベルトルト・ブレヒトの代表作だそう。

舞台は、現代の廃墟といった風。冒頭に出てくる兵士の服装も迷彩だし、現代の戦争といった風情。(実際の舞台は、17世紀ドイツ。「三十年戦争」の真最中。)
「肝っ玉」というのは、主人公である女商人アンナの通り名。口のきけない娘と二人の息子と一緒に、幌車で戦場から戦場へと商いをしてまわっている。
この母を大竹しのぶが演じている。

最初は、何だかのれない。大竹しのぶの演技は いつもはじめのうちは受け入れにくい。それでも、みているうちにいつしか引き込まれてしまうところがスゴい。

母は、戦争のおかげで金儲けをしている。この戦争の大義なんてどうでもよいのだ。お金を稼げれば。それでも、平和になった時に「破産してしまったけど、平和はいいね」と言える無邪気さが美しい。
そして、子供たちを失った時の悲しみには胸が痛くなる。そして、自分が生きていかなければならないから、ずっと悲しんではいられない辛さにも。
ひとりの母の人生を通して、戦争の空しさが確かに伝わってきた。

劇中、不協和音のなかなか格好良い音楽が生演奏で挿入される。でも、俳優がうたう歌がかなり難しそうで、今ひとつ流れを中断させてしまっているような。歌というよりは、激しいセリフみたい。

舞台の上手で、アナウンサーのようにスーツ姿の梅沢昌代が、各場面のタイトルを読み上げる。このタイトルは、これから起こる場面の予告になっている。
起こる悲劇を知りながら、見守らなければならないことがつらかった。

作:ベルトルト・ブレヒト、翻訳:谷川道子、演出:栗山民也、音楽:パウル・デッサウ、美術:松井るみ、照明:勝柴次朗、衣装:ワダエミ、音楽監督:久米大作、音響:山本浩一、歌唱指導:小川美也子、アクション:渥美博、演出助手:大江祥彦、舞台監督:増田裕幸
〔出演〕母・肝っ玉:大竹しのぶ、長女カトリン:中村美貴、長男アイリフ:粟野史浩、次男:シュワイツェルカス、料理人:福井貴一、従軍牧師:山崎一、娼婦イヴェット・ポッティエ:秋山菜津子、農婦/場面タイトル:梅沢昌代

新国立劇場にて。(公式サイト

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» 母・肝っ玉とその子供たち [ようこそ劇場へ!]
ベルトルト・ブレヒトは、私にとってはシェイクスピアやチェーホフと同じくらい重要な劇作家である。青春時代の真っ只中で連続して観た、千田是也・訳・演出による俳優座公演のブレヒト作品群は、私の演劇に接する姿勢の方向付けをしてくれたからである。 その中でも、『肝っ玉おっ母とその子供たち』の大阪サンケイホールでの公演(1966年)は、極めて印象深いものであった。 岸輝子のアンナ・フィアリング(肝っ玉)、大塚道子の娘カトリン、中村た�... [続きを読む]

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