« 気になる映画『マサイ』 | トップページ | みてしまった »

『空中庭園』をみた

小泉今日子が母親で鈴木杏が娘となったら、見ないわけにはいきますまい。
せっかくなので、本日で移転してしまうユーロスペースさよなら鑑賞ということに。

家族をめぐるシビアで恐ろしい物語。

「何ごともつつみ隠さず、タブーをつくらず、できるだけすべてのことを分かち合う。それが私たち家族の決まり…」

完璧に準備された朝食。姉娘マナの質問「私、どこで仕込まれたの?」で始まる会話。「ラブホテル」と、こともなげに返答する母親の絵里子。父親の貴史と息子のコウも和やかに加わる。この家族、何だかヘンだ。

絵里子を演じる小泉今日子。理想の家族を作ろうとがんばって、
そして、がんばればがんばるほど家族たちの心がバラバラになっていく、
切なさ、空しさがにじみでる完璧な笑顔。

浮気三昧の夫・貴史を軽妙に演じた、板尾創路。
複雑な思いを抱えながらも家では明るい娘を演じているマナを、鈴木杏。
無表情で良い味をだしているコウ役は、広田雅裕。映画初出演だそうだ。
そして、絵里子の母親は、大楠道代。絵里子の人生設計とか家族という概念とか、その他もろもろに多大な影響を与えている母親という存在を表す強烈な存在感。

貴史の愛人の永作博美が、ものすごくトリッキィな役どころ。
もう一人の愛人のソニンも、強烈に話しを進める役。ちょっとエロい。

クライマックスの誕生会。おそろしい緊張感。破綻する家族。
巨大なバースディケーキにつきさすロウソクの音がホラーのよう。

「本当に大切なことは、墓の中まで黙って持ってくもんよ」

そして、ラストシーンの雨。
多分、家族は再生できたんだろう。
ずっと、疲れたかんじに撮られていたKyon2。
雨に濡れた表情がとても美しく、ほっとさせてくれた。

UAによるエンディングの歌が、素晴らしい余韻を残してくれる。

事情により、縮小公開になってしまったのがおしい映画。(公式サイト
角田光代原作。

先日の『ボーイ・ミーツ・ガール』は新しいほうのユーロスペース2でみた。
本日は、ユーロスペース1にて。

「追記」(11月21日)
原作を読了。(感想はここ
この映画にまとめあげた監督の力量は素晴らしいと感じた。
希望を感じさせるラストシーン。原作では、このシーンを全く異なるものとして使っており、その違いに胸が痛くなった。

« 気になる映画『マサイ』 | トップページ | みてしまった »

コメント

広田雅裕は演技が下手だけど雰囲気あるなぁと思っていたら、
広田レオナの息子だったんですね。
妙に納得してしまいました。
ソニンは大御所道代と渡り合ってるし、板尾もハマってるし。
キャストとスタッフの力の入れように圧倒されました。
それだけに縮小公開は残念でなりませんね。
豊田利晃の早期復活を願います。
ヤク中を支持するつもりはないですがw

現象さん、コメント&TBありがとうございました。

ラストシーンまで緊張感してみてたので、かなり疲れました。
才能があることは間違いないと思うので、復活してほしいですよね。

コメント&トラックバックありがとうございました。
角田光代作品に漂う「毒」がよく描けていて、「女」の恐さも伝わってきました。終盤にかけてのまとめが少し失速感もいなめませんが、小泉今日子、大楠道代、ソニンの3人の演技が見事だと思いました。

まつさん、コメント&TBありがとうございました。
ホント、恐ろしい映画でした。
原作も読むつもりです。
角田光代作品は初めてなんですが、
「毒」が漂っているんですね。楽しみ。

家族は、絵里子の思い込みを書き換えることで、再生したと思います。
家族のそれぞれが、一人ひとりの多様性や変容性を認めれば、いいのですから。

マダム・クニコさん、コメントありがとうございます。

わたしも、家族は再生したと思っています。

こんにちは。

コメント&TBありがとうございました。

私も杏ちゃん目当てで言ったのですが、大楠道代とキョンキョンとソニンと板尾さんにびっくりして帰ってきました。
みなさん、原作は賛否両論のようなので、是非読んでみたいです。

toeさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。

パンフレットに収録された続編を読みたくて、原作を手にしました。
個人的には、続編はいらなかったかなぁと思ってしまいましたが、
映画をみて、書かずにはいられなくなったのでは?と想像しています。

こんにちは♪
原作は後味の悪い終わり方で、角田さんとの相性はイマイチ良くないな~と思っていました。
映画はなんというか・・・怖かったです。キョンキョンの笑顔がまず怖いです。みんなの学芸会を知っているだけに上っ面の団欒や言葉が怖かったです。
でも、ラストは救われました!

ミチさん、こんにちは。
怖い映画でしたよね。でも、救いがあったのが良かったです。
原作を後から読んで、あのラストシーンが全く異なる形で使われていたのにびっくりしました。
原作を先に読んでいたら、あのシーンも幻想?なんて思ったかもしれません。
映画のほうが良いと思うのは、珍しい体験です。

こんばんは。
原作より、映画のほうが断然良かったですね。
パンフ購入されました?
原作にはない「その後」短編が載ってるんですが、映画をかなり意識した内容に
なっちゃってる・・・と思いました。

RINさん、こんばんは♪
コメントありがとうございます。
映画の後に原作を読みました。
原作よりも映画のほうが良いと思ったのは初めてかもしれない、と思いました。
パンフ買いましたよ〜。
その短編を読みたかったので、原作を読んだようなものです。
映画をみて作者が感じた”救い”を、作品にしたのだと思いました。
そして、「蛇足」かも?と思ってしまいました。

「家族で秘密をもたない」ルールは、これを秘密をもたないことに意味があるのではなく、家族がいやがる「秘密をもたない」家族を演じることに意味があるんですね。だから、夫の浮気は語られないけど、家族は知っている。ここまでくると、普通の家庭にもありそうですよね。
家族を壊れそうな秘密をもちながらも、家族をやっていこうとする意思が、最後あたりで、バスに一緒になる、夫、子供二人の語らいがしましたました。

ERIKOさんとERIKOさんの母、親子のように顔がにてました。

悠さん、こんばんはー。
ご覧になったのですね。
普通の家庭にもありそうだけれど、そこでわざわざルールにしてしまうところが、ヘンなのでしょうね。
「だから秘密はないのだ」と強く言いたいために。それは、秘密があるということと同じことなのだと思います。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/137003/7094002

この記事へのトラックバック一覧です: 『空中庭園』をみた:

» 空中庭園@ユーロスペース [ソウウツおかげでFLASHBACK現象]
曰く付き の本作は豊田利晃渾身作だった。製作委員会が公開にこぎつけて、監督は獄中にて何を思う。どうしてもそういう目で見てしまい、ドラッグ・ムービーの感を拭えない。 とにかく振り子のようにカメラが揺れる。様々なものを中心に置いて、縦横無尽に、時には1回転し... [続きを読む]

» 映画◆「空中庭園」 11/13 [花菊ごのみ]
「空中庭園」@ユーロスペース 11/13日 今まで隠していましたが(?) 私は、小泉今日子さんが結構好きで。 一昨年のアラバキは最前列で観たし。 4年ぶりの主演ということで、楽しみに。 事前に、あらすじを理解して行きました。 予告編も見ていたので、問題のあの血の雨が紫陽花に降るシーンが いつ出てくるのかと、最初からビクビク。 (私の苦手なもの→ホラー、サスペンス、殺人、暴力、、、etc.) その前に一回、血が出てきて、どうしようかと思いましたが、 それより、画面が揺れるので、そっちの... [続きを読む]

» スタッフのちから [『カミュなんて知らない』学生宣伝部ブログ]
どうもーサメ猫です。クリックお願いします☆→みなさん撮影の藤澤さんについて書いていますねー。先日イルカちゃんと【さらばユーロスペースの会】と題して、題してない、見てきた「空中庭園」。なんとまぁ、どうして2人とも映画を見ながら藤澤さんを思い出したか、秘密が....... [続きを読む]

» 空中庭園 [まつさんの映画伝道師]
第248回 ★★★☆(劇場) (核心に触れる文面あるので、ご注意あそばせ)  家庭を守ろうとするあまりに家庭が崩壊する皮肉。  そこには「本音」で語り合うことがあっても「誠実」ではないという歪がある。 「空中庭園」は角田光代の直木賞候補作ともな....... [続きを読む]

» 空中庭園(2005/日本/監督:豊田利晃) [のら猫の日記]
[ユーロスペース@渋谷] 郊外の団地に住む京橋家には、家族に秘密は持たないというルールがあった。長女のマナ(鈴木杏)は、自分の“出生決定地”が近所のラブホテルだったことを聞かされ、朝から落ち込んでいた。最近マナは高校に行っていない。中学生の弟・コウ(広田雅..... [続きを読む]

» 空中庭園 [かりめろ日記]
■脚本 監督 豊田利晃■ ■CAST 小泉今日子 板尾創路 鈴木杏 広田雅祐 大楠道代 ほか■ ■あらすじ■  長女マナ(演 鈴木杏)が自分の"出生決定現場"を父・貴史(演 板尾創路)と母・絵里子(演 小泉今日子)に尋ねる。普通の家庭ならばはぐらかされて当然の質....... [続きを読む]

» 空中庭園 [ブログ的雪かき]
 つれづれなるままに87本目。空中庭園。  久々の邦画を劇場観賞。前からずーーーーーっと気になっていた作品だったので公開が打ち切られる前に観ておこうと思い、おなじみの吉祥寺でさっき観てきた。なぜか一日一回限りの上映で、しかも夜。都内だと他に渋谷と東... [続きを読む]

» 空中庭園 [ダディャーナザン!ナズェミデルンディス!!]
何事もつつみ隠さず、タブーを作らず、それが私たち家族の決まり。 「みんなわかってるのに、幸せな家族の役を演じてる。そうや、学芸会や。」 [続きを読む]

» 空中庭園 [toe@cinematiclife]
監督の覚せい剤所持による逮捕というニュースで有名になってしまったこの映画。 私もその事件がきっかけで知ったのだけど、ちょっと気になったので、見に行ってきた。 作品的には、・・そうだなぁ、ちょっと微妙かな。 <STORY> 京橋家は、「家族に秘密がない」ことをモットーにしており、家族同士があらゆることを包み隠さず話すことにしている。 しかし、彼らはそれぞれ秘密を抱えている。 父・貴史(板尾創路)は、... [続きを読む]

» 空中庭園/女王は甦る [マダム・クニコの映画解体新書]
冒頭、古代世界の七不思議の一つ「バビロンの空中庭園」を描いた蛍光灯の傘が、家族の食卓の真上に映し出される。この庭園を作ったのは、偉大にして悪女(堤防を築き、夫を毒殺したといわれる)のセミラミス女王という説がある。本作の主人公の絵里子は、現代のセミラミス女王である。 空中庭園  母に愛されなかったという幼い日のトラウマから逃れられない絵里子。高校時代には不登校を繰り返し、母を殺そうとしたことさえある。その�... [続きを読む]

» 映画「空中庭園」 [ミチの雑記帳]
映画館にて「空中庭園」★★★★ ストーリー:京橋家では<秘密>を作らないことが決まり。それなのに、娘・マナ(鈴木杏)、息子・コウ(広田雅裕)、父・貴史(板尾創路)、母・絵里子(小泉今日子)には、それぞれ秘密があった。 角田光代の「空中庭園」の映画化。 原作を読んだ時のなんともいえない不安定な感じが映画にも現れている。それは、ゆっくりと一回転したり、振り子のように揺れるカメラワークによるものだったりする。地に足の着いていない感... [続きを読む]

» 悠亭日常2006-8-05 [こ・と・ば・言葉]
笑いの裏には狂気が。。。。。「空中庭園」@映画@DVD「思いこむと真実がみえなく [続きを読む]

« 気になる映画『マサイ』 | トップページ | みてしまった »

サイト内検索
ココログ最強検索 by 暴想

最近のトラックバック

つぶやき


2015年6月
  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30        
無料ブログはココログ

天気ブログパーツ